今後もリペアなどせずにオリジナルを保つ
前後オーバーフェンダー、専用ラジエターグリル、リアスポイラーなどを装備していたケンメリGT-Rは、自動車趣味人の間で“幻のGT-R”と呼ばれているが、それはKPGC110型スカイライン2000GT-Rがわずか197台しか生産されなかったからだ。発売当初に期待されていたレーシングバージョンは、結局コンセプトカーが発表されたのみで登場しなかったことでも有名である。
幻のGT-Rとなってしまった理由は、一般的にフロントに搭載していたS20型エンジンが昭和48年排出ガス規制に適合しなくなったためだといわれているが、S20型エンジンの在庫数が197台分だったから少量生産になったという噂も……。
S20型エンジン用のソレックスキャブレターが197台分だけ残っていたからその生産台数になったという説もある。自動車の歴史を辿ると、厳しい排出ガス規制により、名機を積んでいる国産スポーツカーが次々生産終了となってきたが、ケンメリGT-Rも登場したタイミングが悪かった不運のモデルだといえるだろう。
CREWCHのケンメリGT-Rは、鉄製グリルが錆び、エンブレムの塗装が剥がれてきているが、リペアすることなく、あえてそのままにしている。エキゾーストマニホールドやエアクリーナーボックスも交換しがちだが、それらも変更することなく往時のパーツを遺し、各部をオリジナル状態のままにしているのだ。
来年の東京オートサロンにおいても、国産スポーツカーの国内保存を目的としたコレクションを形成しているCREWCHが貴重なクルマを披露してくれるだろう。