空力面を刷新してダウンフォース13%アップ
もちろん、R35 GT-Rの2024年モデルでの進化は音量対策だけではない。「人の感性に気持ちよく。それでいて速い」、「トータルバランスをもっと高い次元へ」というのが2024年モデルの狙いで、NISMOに関しては「GT-R史上最高のトラクションマスター」として駆動を極めることを目指して設計。
フロントにLSDを組み込んで4WD制御のアップデートをはかったほか、空力面を刷新。フロントまわりは水平基調を軸にしたデザインでスタンスの良さを強調し、バンパーの開口部をタイトにして空気抵抗を減らしつつ、クーリング性能はキープ。カナードを深くしてホイールハウス内の空気を引き出し、揚力を軽減する。
リアはバンパーサイドとトランクリッドの上面にエッジを設け、車体後部に巻き込む風をシャットアウト。ウイングはスーパーGTのGT500クラスマシンでもおなじみのスワンネック形状を採用し、ウイングを上から支える形状に。これらの改良で、NISMOはトータルで13%もダウンフォースを向上させることに成功している。
シートもカーボンフレームが向き出しになったレカロのニュータイプで、重量を増やすことなく横剛性を50%アップ。ホールド性も一段と進化させた。
これらの改良で、NISMOのハンドリングは過去最高レベルになり、テストを行ったヘアピンコーナーの立ち上がりでは、コーナーひとつで従来型より0.6台分もリードするほどのパフォーマンスを得ているとのことだ。
スタンダード仕様のリアウイングも初めて刷新
一方スタンダード仕様は、「R35史上最高の洗練された乗り味」がテーマだ。フロントはNISMOと同じく、水平基調を軸にしたスタンスのいいデザインで、新しいシグネチャのDTL(デイタイムライト)がアクセント。カナードも取り付けられている。
リアはバンパーサイドにエッジが設けられ、ディフューザーからの空気の流れも最適化。ウイングも2007年の発売以来、初めての改良が施され、幅を広げると同時に、ウイングの位置を少し後ろに下げて揚力を軽減。こちらも車体トータルで10%のダウンフォースアップを達成している。
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いずれにせよ、R35 GT-Rが延命されたというのは、スポーツカー好きにとっては大きな朗報で、騒音規制の問題がクリアできたことで、2024年モデルだけでなく、2025年モデル以降も数年間は命脈を保てる見込みが出てきた。日産は、もうしばらくR35 GT-RとRZ34フェアレディZの二枚看板が続くと期待しよう。