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日産R32「スカイラインGT-R」はメーカー純正チューンドカーだった!? 当時ではありえなかった本格アイテムとは

32のイメージカット

迫力あるR32GT-Rニスモのフロントマスク

レースで勝つために投入された本格アイテムに驚愕

 1989年にセンセーショナルなデビューを果たし、名車として語り継がれるBNR32型日産「スカイラインGT-R」。RB26DETTエンジンはグループAでの勝利を目指し2568ccという排気量を採用したことはよく知られているが、ボディや電子制御などもチューニングカー顔負けのスペックを誇っていた。

 純正パーツがほかの車種へ流用されたことはもちろん、社外品でも不思議ではないパーツが純正で装着されていたなど、のちのチューニング業界に与えた影響は計り知れない。当時のクルマ好きたちが驚愕したメカニズムを紹介する。

エンジンの性能を引き出す「6連スロットル」&「前置きインタークーラー」

 エンジン系でいえば6連スロットルと前置きインタークーラー。気筒ごとにスロットルが独立したエンジンはほかにもあるが、最大のメリットはそれぞれの気筒へ均一に空気を送り込めること。さらにスロットルのレスポンスがよくパワーも出しやすいと、RB26DETTの魅力を語るうえで決して外せない機構だ。

 前置きインタークーラーは三菱「ギャランVR-4」などでも前例がある。走行風を効率よくコアに当てることで冷却効率を大きく高め、スペースの制約が少なくコア自体を大きくすることも可能。今でこそアフターパーツの前置きインタークーラーは珍しくないが、当時は押し出し感のあるルックスを含め特別な存在だった。

軽量化にこだわった「アルミボンネット&フェンダー」と「ワイドボディ」

 ボディでは軽量なアルミ製ボンネットや、フロントフェンダーが使われていたことだ。エンジンの耐久性を重視したため、ブロックは高強度だが重い鋳鉄。6気筒ということもありフロントヘビー化は避けられず、少しでも重量増を解消するべくボンネットとフェンダーの材質を変更した。

 前後フェンダーはベース車のスカイラインGTSよりワイド化され、大パワーを路面へ伝えるためワイドなタイヤが履けるようにしたのも、チューニングカーの世界では今も昔も定番のボディメイクといっていい。

他メーカー車種への流用も人気だった「鍛造ホイール」

 鍛造で軽量かつデザインが秀逸な純正ホイールも鮮烈だった。それ以前はスポーツカーといえど純正ホイールはイマイチ見た目がよくなく、社外品に履き替えるとスタッドレス用として冬だけ使われるのが関の山。ところがBNR32の純正5本スポークはスカイラインGTS系をはじめ、サイズさえ合えば他メーカーのクルマに流用されることも多かった。

4WDはサーキットでも速いを証明した「アテーサE-TS」

 そして忘れてはいけないのが、アテーサE-TSやスーパーハイキャスなど、最新の電子制御により「サーキットでも速い4WD」の地位を確立したこと。

 以前の4WDスポーツは、どちらかといえばラリーやダートトライアルが主戦場。サーキットではアンダーステアや重さによるタイヤやブレーキのタレが影響し、路面のμが低くなるウエットは別として、デメリットも決して少なくなかった。

 電子制御システムだけの功績ではないものの、グループAでは今も語り継がれる24連勝の活躍、チューニング界でも主役として長く君臨した。ちなみにグループAのホモロゲーション用モデルとして生産された「GT-Rニスモ」は、タービンの素材や排気系の一部を改良したほか、大幅な軽量化が実施されただけではなく、通称「ニスモダクト」呼ばれるフロントバンパー内の大型ダクトは、冷却系アイテムとしても高い人気を呼ぶ。

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 1993年に行われたマイナーチェンジで追加された「Vスペック」では、ブレンボ製キャリパー採用によりブレーキローターも拡大され、ホイールもBBS製の17インチにサイズアップ。レースでの華々しい戦績やチューニング界を牽引したことなど、BNR32‏型スカイラインGT-Rは、まさに日本の自動車史に名を残す1台といっていいだろう。

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