2015年に再始動した人気の耐久レース
2022年12月4日にエビスサーキット西コースで、「東北660耐久レース」の第3戦が開催された。仙台ハイランドレースウェイの「Kカー耐久」を引き継ぎ、2015年から東北660シリーズのひとつとして再始動。2021年から福島県・エビスサーキット西コースおよび東コースにリンクサーキットを加え、年3回のシリーズ戦が正式に組まれている。
学生が参戦できるクラスも盛況
もっとも台数が多いのは「東北660選手権」の3クラスと同じ車両規定の3クラス、そして改造範囲は同じながら登録できるドライバーの数を増やした学生クラスだ。また、旧規格にターボやスーパーチャージャー装着車、3クラスの規定に収まらない新規格NAも参加でき、軽自動車なら何でもアリというお祭り的な側面も持つ。
今回のエントリーは過去最多に迫る26チームだが、直前のマシントラブルで2チームが不出場となった。クラスごとのトピックを紹介しよう。
#350カプチーノが圧倒的強さで完勝し総合優勝
もっともチューニングできる範囲が広い1クラスは、#350 スズキJ宮城&高橋Rカプチーノが、予選で1分11秒037という普通車も顔負けのタイムを記録し総合のポールポジションを獲得。第2戦のリンクサーキットはドライバーが揃わず欠場しており、最終戦に賭ける意気込みは相当だったと思われる。ライバルが不在という状況ではあったものの、仙台ハイランド時代からの常連らしい安定感で、終わってみれば149周で堂々の総合優勝を果たした。
激戦の3クラスは学生チームが予選トップに
続く2クラスは#56 SEIWA Racing Team Aのアルトワークスが、給油の回数が多かったため総合では17番手に沈むものの、見事クラス優勝を飾った。最大の激戦区である3クラスは9チーム。学生クラスの8チームは3クラスにも組み込まれ、トータルでは17チームという大所帯になる。
練習走行と公式予選のトップはなんと学生で、L700ミラを駆る#201 TGUACミラだった。数年前から走らせていた車両で明らかにストレートが遅かったのだが、エンジンを載せ替えたことで本来のポテンシャルをようやく発揮した。決勝は無給油作戦を採用した、3クラスの#311 Team福島 Rise ARYアルトにトップを譲ったが、学生クラスではぶっちぎりの優勝で強豪が揃う3クラスでも3位の結果は見事というしかない。
チェッカー時の137~139ラップのなかに9チームがひしめき合っており、給油やドライバー交代のタイミングが少しズレていれば逆転していた可能性がある。なお、3クラスの2位は東北シリーズのドライバーが集まった#794 ARY 畜生藻コベイ組、3位も同じく東北660シリーズで活躍する#527 ZtoAuto CSW自動車部だった。学生クラスの2位は#382 YUMC副部長•会計レーシング、3位には#260 201AS TAKUMI ESSEが入賞した。
廉価グレードでも上位に食い込むことができるのも醍醐味
ハイグリップタイヤを履いた新規格NAや旧規格NAの4クラスは、かつて東北660選手権でシリーズを制した経験があるマシンを持ち込んだ、#760 ナローテックヨコハマ耐久アルトがポール・トゥ・ウィンを飾る。2位はやはり東北660シリーズ常連である#829 チーム関東 ARY、3位には旧規格マシンの#84 LUBIRD巻渕自動車トゥデイが食い込むが、3連スロットルのMTRECではない廉価グレード。長丁場の耐久は定番マシンではなくとも戦え、また楽しめるということを見事に証明した。
2023年シーズンはニューマシンが増えるのか期待
全体として注目したいのはHA36型スズキ アルトが増えたこと。以前はほとんど姿を見なかったが今回は5台、3クラスでは無給油で優勝にも輝いている。電子スロットル車は純正ECUの書き換えが認められており、それに加えて吸排気系をチューニングしても燃費は20kg/L以上。セーフティカー介入のタイミングなどに影響されるとしても、200分を無給油で走り切り優勝したのは正直予想外だった。
HA36カップがスタートしたことで台数はさらに増えると予想され、過給器が付いたワークスやターボRSも以前から燃費のよさには定評がある。東北660耐久レースでもHA36アルトが主力マシンになる日は遠くない!?