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BMWのバイクにはパートタイム2WDがあった! 第二次世界大戦後も中国とソ連にコピーされた名作「R75」とは

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TEXT: 長尾 循(NAGAO Jun)  PHOTO: 長尾 循

ミニチュアモデル業界でも人気はメジャー級

 そんな有名なBMW R75サイドカーは、ミニチュアモデルの素材としてもメジャー級だ。タミヤ1/35MMシリーズやエッシーの1/9プラモデルなどは古くからの模型ファンにとってはお馴染みの存在だが、今回ご紹介しているのはドイツの老舗玩具・模型メーカー「シュコー」の1/10スケールのミニカー。こちらはライトブラウンに塗装された北アフリカ戦線仕様だが、ほかにバリエーションとしてシュバルツグラウ(黒っぽいグレー)塗装の欧州戦線仕様のモデルもある。車体に満載されたジェリ缶や飲料水のボトル、スペアタイヤに機銃架などがその用途の過酷さを物語る。

じつはコピー製品の一部は今でも現役

 終戦までに約1万8000台が生産されたと言われるBMW R75は、ヨーロッパ全土はもとより遠くソ連から北アフリカまで、あらゆる戦場で使用された。ちなみに戦時中に東部戦線でBMW R75を鹵獲(ろかく)したソ連軍は戦後、これをコピーした「ウラル」、ウクライナでは「ドニエプル」、さらにそのウラル/ドニエプルをベースに中国で「長江」が作られ、それらは一部でいまだ現役だ。

 戦時中にドイツで開発されたさまざまな「兵器」が、戦後の東西両陣営に渡ってそれぞれ独自の進化を遂げていくのはこのBMW R75に限った話ではなく、小火器からロケット(ミサイル)まで多岐にわたるが、それはまた別の物語である。

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  • 長尾 循(NAGAO Jun)
  • 長尾 循(NAGAO Jun)
  • 1962年生まれ。デザイン専門学校を卒業後、エディトリアル・デザイナーとしてバブル景気前夜の雑誌業界に潜り込む。その後クルマの模型専門誌、自動車趣味誌の編集長を経て2022年に定年退職。現在はフリーランスの編集者&ライター、さらには趣味が高じて模型誌の作例制作なども手掛ける。かつて所有していたクラシック・ミニや二輪は全て手放したが、1985年に個人売買で手に入れた中古のケーターハム・スーパーセブンだけは、40年近く経った今でも乗り続けている。
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