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マツダ「RX−3」のオープンモデル? いいえ「ロードスター」ベースの「RX-Cabriolet」でした。NATSの力作です

ベースとなったNDロードスターは千葉マツダが提供してくれた

大人では考えつかない自由な発想

 自由な発想で作るカスタムカーが面白く、その作りも年々レベルアップしていると話題になっている自動車系専門学校NATSこと日本自動車大学校。東京オートサロン2023でもカスタム好きの学生達が集まり、各班ごとにわかれて個性的なマシンを6台製作して出展した。

 華やかに飾られたブース内には異色のカスタムカーが勢揃いしていたが、その中で真っ先に目に飛び込んできたのが、往年の名車マツダ「サバンナRX-3」片山カラーを「NDロードスター」で再現したクルマであった。

現代のクルマと旧車の融合

 製作に携わった生徒は10名、全員旧車好きメンバーということだった。「よくぞやってくれた!」と思ってしまうほどの出来栄えのNATS「RX-Cabriolet」だが、なかなかロードスターをベースにしてRX-3風に仕立てるとは思いつかないもの。しかし、そのひらめきは歴史的な背景もきちんと踏まえられていた。

 製作段階からテーマは「現代のクルマと旧車の融合」として決まっていた。それを表現すべく考えたときに、歴史的な偉業を成し遂げたマツダRX-3がテーマの候補として挙がる。そして、この世に誕生しなかったRX-3のオープンカーを製作しよう、ならばベースは、マツダの現行車であるNDロードスターにして、現代のクルマと旧車を融合させようということからプロジェクトがスタートした。

 NATSのオートサロンに向けたマシン製作については、事前に100万円という予算が決められている。学生達は、その決められた範囲内で材料を集め、必要となるパーツを購入しカスタムマシンを生み出さなければならない。だが現実問題、これではベース車すら購入できない。そこで、クルマやパーツなど必要になる物は学生たちが知恵を絞り調達。各企業に出向き、協賛活動をするというのが習わしとなっている。

 この班では、ありがたいことに現行NDロードスターを千葉マツダが提供してくれた。そこから旧車を表現するために必要なホイールをRSワタナベから、そして、NDロードスターのRX-3化に必要になるフロントフェイスは、北海道のエゾイズムがフロントノーズキットを協賛してくれることで、今回の出展が可能となった。

学生たちで協力して作り上げた力作

 ボディ加工や細かい細工は学生達全員で協力し合って製作。フロントマスクはNDロードスターのボンネットが丸くなっているので、フラットになるように成形。バンパーはレインフォースメントにアングルを組んでRX-3のフロントフェイスがしっかり収まるように固定。

 フェンダーは途中までがアルミで、フロントセクションはほぼ鉄板仕上げになっている。なぜアルミ板を使わなかったかといえば、純正フェンダーが鉄板で作られていると思い込んでいたからだそうだ。作業を進める段階でアルミフェンダーだと気づいたらしい。

 また、オーバーフェンダーも鉄板で成形し、実際のサバンナワークスオーバーフェンダーよりも大きくなっている。実はこれ、本当はもう少し小さくする予定だったが、ホイールを入れたらキャリパーが当たってしまい、スペーサーを入れて外側に出した影響で、ワークスフェンダーをこの大きさにするしかなかったと話してくれた。

 それ以外にも学生達の工夫はたくさんあり、箱車感を強調するために、リアクォーターも鉄板で形を作り、オーバーフェンダーとのバランスを考えて絶妙なラインで湾曲させて絞り込んである。

 また、リアはトランクも含めてほぼ全て鉄板で作り直し、オープンカーならではの幌はちゃんと使えるように残しているのもポイント。大胆かつシンプルな造形のリアには、グランドファミリアのテールランプを移植。本当ならRX-3用を使いたかったが、近年の旧車ブームによるパーツの高騰のあおりを受け、中古で安かったグランドファミリア用にしたという事だった。

 様々な企業の協力もあって完成したNATS「RX-Cabriolet」と名付けられたサバンナRX-3顔のNDロードスター。その完成度はとても高く、スタイリング、カラーリング、アイデアも含めて実に見事なカスタムカーであった。

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