容易にドリフト走行を愉しめるレーシーなセッティング
大手自動車メーカーのコンセプトカーや有名スペシャルショップのチューニングカーのみならず、自動車学校の生徒たちが斬新な発想で製作したドレスアップカーも、毎年、東京オートサロンの名物のひとつとなっている。
東京オートサロン2023の埼玉自動車大学校のブースに展示されていたヨタハチことトヨタ スポーツ800は、レーシングドライバーの谷口信輝選手が仕上げた愛機であった。埼玉自動車大学校の在校生向けの特別講座を谷口選手が実施したことがあり、今回、同学校のブースにて展示することになったそうだ。
8年10ヶ月もかけて完成させたマシン
ヨタハチをモジってノブハチ(NOB Hachi)と名づけられた水色のトヨタ スポーツ800は、谷口選手が8年10カ月もかけて完成させたマシンだ。容易にドリフト走行を愉しめるレーシーなセッティングとなっているという。
改めて説明するまでもなく谷口選手はレーシングドライバーを生業としているので、いつ立ち往生するか分からない旧車に乗るタイプではなく、オリジナルに忠実に旧車をレストアすることもヨシとしなかった。そのため、移植用のドナーとしてNBロードスターを確保し、最初期の段階では普段着感覚で乗れるクルマに仕上げることを考えていたそうだ。
そういったこともあり、当初はエンジンもNBロードスター用を使う予定だったらしいが、ヨタハチはトヨタ車だからエンジンもトヨタで、ということになり、素性をよく知っている4A-Gエンジンを譲り受けることにした。
確保したAE111型用の4A-G/20バルブエンジンに戸田レーシングのハイカム、小泉商会の鍛造ピストン、FCRキャブ(41φ)、LINKダイレクト点火、POWER CRAFT特注のエキマニ&マフラーを装着。エンジンのハイトが高すぎてノブハチのボディに搭載できなかったので、オイルパンを無くし、ドライサンプ化したそうだ。
6速ドグミッションを採用する本格派
ボディは、フレームや車体そのものが腐っていて穴が開いたりしていたらしく、大手術を実施。フレームだけでなく、トランスミッショントンネルも広げないと6速ドグミッションが入らなかったため、この部分も造り直したのだという。
エンジンルームは、NBロードスターのメンバーを短くして流用し、NBロードスターの足まわりを移植。下まわりをある程度まで組んだところで鈑金屋に出し、ボディをレストアしてもらった。ちなみに、美しく完成したボディには、ロケットバニーのフロントリップとサイドステップを装着している。オーバーフェンダーを装着するのがイヤだったのでフェンダーをワイドにしてもらい、その結果トレッドが70mm拡がった。
足まわりは、プロジェクトμのブレーキとHKSのサスペンション(特注のハイパーマックス)でチューニングしており、RSワタナベのホイールにスポーツタイヤのADVAN NEOVAをセット。前後ともディスクブレーキにしている。純正にこだわることなく仕上げられたノブハチは、埼玉自動車大学校の生徒たちにもイイ刺激になったはずだ。