老舗ショップが初の欧州車チューニングに挑戦
日本のチューニング業界を黎明期から牽引するKansaiサービスが、長い歴史のなかで初めて欧州車をデモカーとして迎え入れた。それが東京オートサロン2023に出展したアバルト595だ。
日本の道路事情にマッチするコンパクトなボディは、サーキットで振りまわして遊ぶのにも最適なサイズ感。さらにトルクフルなエンジン特性やオシャレな外観にも惹かれ、ユーザーへの新たな提案として開発することになったという。
パワーアップなどはHKS製アイテムをベースに展開
まだテスト中とのことで発売の時期は未定ながら、誰もが気になるのはノウハウを生かしてデータを書き換えたというECUだろう。いわゆるブーストアップ仕様で、デモカーはノーマルの1.3kg/cm2から1.6kg/cm2まで高め、低速の豊かなトルクと高回転域における力強いパンチを両立したそうだ。ただし車両の個体による状態のバラ付きが日本車に比べて多く、チューニングデータの安全マージンを稼ぐため、もう少しサンプリングが必要とか。
排気系はHKSの欧州車に向けたブランド「ヴィーツ（VIITS）」のエキマニを装着するが、将来的にはタービンなどを含めオリジナルでの製作も視野に入れているとのことだ。
ノウハウを生かしたオリジナルパーツも開発中
そしてブースに展示した試作パーツが、トランスミッションオイルのキャチタンクだ。スポーツ走行をするとトランスミッションからのブローバイガスが多いらしく、街乗りオンリーならともかくサーキットを走るなら必須だろうと製作し、今後は取り付ける位置などを含めてテストを重ねていくそうだ。
足まわりは同じくHKSの「ヴィーツ」をチョイスし、軽快な運動性能と上質な乗り心地を両立している。室内は運転席がフルバケットのレカロRS-GS、助手席がリクライニング式のレカロSR-6、フロアマットはKansaiサービスのオリジナルで、ドライビングをサポートしつつ高級感も演出する。
今後はストリートおよびサーキットでデータ取りしつつ、オイルクーラーやボディ補強パーツも開発する予定だ。メカニックの市田さんは、
「まだまだスタートしたばかりですし、欧州車のデモカー開発も初の試みです。とはいえ日本車のチューニングで培ったノウハウを十分に活かせるので、国産のスポーツカーに負けない楽しいクルマが作れると思います」
と語ってくれた。老舗プロショップが惚れ込んだアバルト595、さらなる熟成やパーツ開発に期待したい！
