さらにジャンルを広げていくASEA基準
このように、品質認定を受けるのは厳しい試験と評価をパスしなければならないのだが、「登録証シール」と「認定証シール」が製品本体や外箱、取扱説明書などに貼付(※注)されているアイテムは、ユーザーが安心して愛車に使用しても大丈夫であることの証明でもある。ASEA事業部長の柳田春人氏に、今後、対象アイテムは増えていくのかを伺ってみた。
「ASEA基準の対象アイテムは、会員社の全アイテムをカバーできるように、順次拡大を図っています。この先、EVが増えていくことも念頭に、内燃機関だけではなくモーターに対するアフターパーツ、制御パーツの登場も考えられますので、基準作りも含めてまだまだやっていくことは多いと考えています」
(※注)シールの貼付以外に保証書や取説、パッケージ等に印刷されている場合もあり
「NAPACは自動車に係わる企業であれば、参加していただける団体です。ASEA事業部は、現状ではスポーツパーツやアフターパーツを開発している会社を中心に71社が正会員となっていますが、アフターマーケットの商品は、スポーツパーツだけではありません。たとえばワイパーやフロアマットなどもそうです。将来的には、すべてのアフターパーツに対してASEA基準を設けていくのと同時に、NAPAC会員企業を増やしていきたいと考えています」
モータースポーツにおけるASEAの活動
この基準制度と同時に、ASEAではマーケティング委員会とモータースポーツ委員会が活動をすることで、健全なモータースポーツの発展にも寄与している。具体的にはどのような内容なのだろうか。
「モータースポーツという面では、スーパー耐久シリーズの富士24時間レースへの冠スポンサードは大きな活動であると思います。これは私が富士スピードウェイと交渉をすることではじまったものです。また、次回で36回目の開催を迎える、年2回春と秋に開催しているNAPAC走行会も、私が役員になってからはじめたものです。こういった活動を通して、アフターパーツだけではなく、自動車業界全体が盛り上がっていってほしいと思っています。
最近では、日本国内はもとより、海外市場での国産パーツの人気が高まっています。現在のところ、海外市場への対応は会員企業がそれぞれにおこなっていますが、これもゆくゆくは、NAPACというブランドを認知していただけるような活動が必要となってくるでしょう。そのためには、まずNAPAC会員企業を増やすことが大切です。自動車のパーツをつくっている会社がすべてNAPACの会員となり、そこが製造しているパーツすべてを網羅した基準制度ができれば、日本のアフターパーツは信頼できるという認識が広がります。そのためのASEA基準登録証・ASEA基準認定証なのです。今後もこれが貼られている製品は安全・安心・信頼できるものであると認知していただけるように活動していきたいと思っています」
現在NAPACはASEA事業部とJAWA事業部、JASMA事業部という3事業部制となっているが、NAPACであれば大丈夫という信頼度向上を目指すため、柳田春人氏は、3事業部間の連携をより深めるなどして認知活動に努めていくと語った。
この先自動車業界は、ICEからEVへと進化をしていくことになるだろう。しかし原動機がどのようなものになっても、あるいは自動運転があたり前となっても、より走りが楽しいもの、あるいはより乗り心地がいいもの、悪路走破性が高いもの、よりスタイリングに個性があるものなど、さまざまなカスタマイズの需要は絶えることはないだろう。その時に使われるパーツは、耐久性や性能など、いまよりも高いレベルとなっていなければならないはず。NAPACの活動はそんな将来を考えてのものでもあるのだ。