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67歳・元レーサーがいまあえてサーキットを走る理由とは? 1968年式「アルファ ロメオ」で「FL550」レースチャンピオンが走る!

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TEXT: 奥村純一(OKUMURA Junichi)  PHOTO: 奥村純一

ヒストリックカーの祭典「サイドウェイトロフィー」2022年冬の部

 1960年代の黄金期を再現したヒストリックカーの祭典「Festival of Sideway Trophy」(サイドウェイトロフィー)の2022年冬の部が、11月27日千葉県・袖ヶ浦フォレストレースウェイを舞台に開催された。

元レーサーが1年ぶり2度目の袖ヶ浦フォレストレースウェイに挑む

 袖ヶ浦フォレストレースウェイのピットに並んだ参加車たちのなかで、1台の黄色いアルファ ロメオ「ジュリア・スプリント」のボンネットに、懐かしいGPAのヘルメットが置かれていた。マシンとは時代感が違うが、なんとなく本物の気配が漂っている。それもそのはず、かつてさまざまなカテゴリーで活躍した元レーシングドライバー・篠田康雄さんのヘルメットなのだ。この日は友人所有のアルファ ロメオで「RACメモリアルラン」という走行会枠を走るのだという。

 じつは篠田さん、ちょうど1年前にもこのサイドウェイトロフィーで耐久レースに友人とエントリーしたのだが、現役当時の主戦場は鈴鹿、富士、筑波であり、ここ袖ヶ浦のコースは当時はまだ存在すらしていなかった。初めてのコースに戸惑うばかりでレースにならなかったそうだ。そこで再び「レース」を楽しむため、初心に戻ってこの日はコースを覚えるための参加だった。

1981年にはFL550レースでトリプルタイトルを達成

 1955年生まれで現在67歳の篠田さんのレース経歴を紹介すると、1976年に中古で購入した「アローS1」でFBという入門フォーミュラーカークラスでレースデビュー。初レースでいきなりの3位入賞はアローの製作者・堀 音登吉さんにも褒められたという。そして1978年にFL500にステップアップし、「ベルコ97C」で参戦し経験を積んでいく。またこの頃からダンロップタイヤ勢が多いなか、ブリヂストンからタイヤ供給を受けて開発にも携わった。そして翌1979年、ツールドニッポン筑波にてついにFL500初優勝を飾る。

 そうした実績が認められ、8本スポークのホイールで有名なRSワタナベのワークスドライバーとして初開催となるFL550チャンピオンレースへ「ファルコン77」で挑むことになる。ワークスドライバーとして迎えた1980年は、つねにトップ集団で快走を見せるもマシントラブルでのリタイヤが続いた。シリーズ中盤からはマシンも新型の「ファルコン80A」へとスイッチ、上位へと食い込むようになった。

 そして1981年、鈴鹿新春ゴールデントロフィーレースにて念願の鈴鹿サーキットでの初優勝。この年は筑波と鈴鹿の年間チャンピオン、そしてJAF戦FL550部門のシリーズチャンピオンというトリプルタイトルに輝いたのだ。

 それからはF3、プロダクションカー、スーパーシルエット、スポーツカー、グラチャンとキャリアを重ねていくが、1986年に家庭の事情があり引退したのだった。

「アイドラーズ」でレース復帰、そして自ら旧車のレストアに着手

 それからはレーシングドライバー時代に息抜きで楽しんでいた釣りの趣味を本格化し、ルアーとフライフィッシングで中禅寺湖に潜む大物や天然の渓魚を求めて渓流釣りに没頭していた篠田さん。

 そんななか、11年ほど前に知人から「レースをやっているから一緒に出ませんか」と、誘われたのがアイドラーズ12時間レースだった。アマチュアレースとはいえ12時間走りきる達成感は格別だ。篠田さんはその楽しさにハマって、以降は毎年参加することになる。

 そして数年前から、自分で一度クルマを組み立ててみたかったと1970年代のトライアンフ「スピットファイア」のレストアを始めたこともあり、ヒストリックカー趣味の友人もできた。その友人の所有する1968年式アルファ ロメオ・ジュリア・スプリントで、ヒストリックカーレースの世界に2021年から足を踏み入れたというわけだ。友人たちも、そうした篠田さんを応援。マシンを貸し出すにあたり、万全のメンテナンスを施して当日に挑む準備をした。

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