毎年ロータリーエキシビジョンが熱い!
いまやロータリーチューンの神様として知られるRE雨宮会長の雨宮氏(通称:雨さん)が発起人となって、昔なじみの伊藤笑会代表・伊藤さんとともにREを盛り上げるべく発足させた「ロータリーエキシビジョン」。東京オートサロンでは、RE雨宮ブースを中心としたロータリーエキシビジョンブースは様々なロータリーマシンが一堂に会する名物コーナーとして定着。毎年、ここを楽しみに訪れるREファンも多い。
盗難に遭った元祖1号機を復活!
その中でひと際目立っているマツダFD3S「RX-7」があった。年初め最初のイベントで縁起が良い黄金に輝くマシンを披露してくれたのは、伊藤笑会の復活1号機「VOTERAS×伊藤笑会壱号機 with RE雨宮」だった。
このマシンは2019年にVOTERAS社代表の工藤さんの依頼を受け、東京オートサロンに向けて製作した元祖1号機のイメージをベースにしている。じつはこの元祖1号機が2年ほど前に盗難されてしまったのである。しかし、再びFD3S RX-7を東京オートサロンに展示させたいとのオーナー工藤さんの強い想いから、RE雨宮、伊藤笑会、VOTERASの3社による1号機復活プロジェクトがスタートしたのである。
元祖1号機が装着していたボディキットは、数あるRE雨宮製外装のキットの中でも人気が高く、FD3S RX-7ワイドボディの王道にもなっているGT-ADキットだった。しかし、2023年に新しく復活を遂げる1号機に同じエクステリアでは面白くない。そんな意見から、戦うクルマであることをレーシーに表現するD1キットを装着させた。
さらにボディキットをそのまま取り付けるだけでは特別感が薄れると判断。雨さんとも相談し、これをベースに2m超えのワイドボディを持つスーパーマシンとして製作することが決定した。
通常のD1キットを装着したFD3S RX-7の全幅は約1860mmになる。だが、今回はよりワイドボディのインパクトを高めるべく、D1キットワイドフェンダーにオリジナルアレンジを加えた。そのサイズは片側70mm、トータル140mmのボディキットで、全幅は2000mmにも達した。
このフェンダーに合わせて、ワイドフェンダー専用ダブルダクトを追加し、剛性確保とともに空力パーツとしても役立つサイドプレートをマウント。ワイドフェンダー上部にもダクトをセットし、その姿はストリートを駆け抜けるGTマシンといった雰囲気である。
エクステリアについては、他にもボンネットをRE雨宮製フード9に交換し、ウイングもRE雨宮製GTリアウイングを装着。ヘッドライトは通常のRE雨宮スリークライトではなく、雨さんのはからいで譲り受けた特別なスリークライトをセット。じつはこれ、2018年の東京オートサロンに登場した「RE雨宮X-RESPONSE-7」に装着されていたパーツというから貴重だ。
RX-8用の6速トランスミッション
レーシーなボディを持つマシンにふさわしいパワーユニットについては、RE雨宮20B 3ローターNA改のエンジンを搭載。スペックは最高出力320ps/7500rpm、最大トルク32kgm/6500rpmを発揮する。伊藤笑会で以前にも20B 3ローターNAを製作したが、そのときと同じ手法で、パワーユニットはコックピット寄りにできる限りマウントし、フロントミッドシップ化。NAロータリーエンジン搭載らしい理想的な前後重量配分の実現を狙った。
排気系は3ローター専用に作ったワンオフタイプのエキゾーストマニホールドに、90φドルフィンテールマフラーを組み合わせる。また、トランスミッションについては純正5速を捨て、RX-8用の6速トランスミッション仕様にしているのも面白い。もちろん、心配される強度面についても問題ないという判断からの載せ替えだ。
雨さんがこだわったボディキットにプラスの要素を加えて魅力を高めた「VOTERAS×伊藤笑会壱号機 with RE雨宮」。スーパーGTマシンのノウハウを取り入れたエアロエフェクトによる戦闘的なフォルムに、ギャラリーたちも思わずブース前で足を止め、しばらく見入っていた。これまで、あまりなかったRE雨宮ボディキットベースのワンオフエアロマシン。その新たな魅力の引き出し方が、今後のカスタムに大きな影響を与えそうだ。