時速300マイル以上を目指したハイパーカーのサーキットバージョン
アメリカ・テキサス州に本拠を置くチューニングメーカー、ヘネシー パフォーマンス。そのオリジナルスーパースポーツであるヴェノム F5のサーキット仕様「ヴェノム F5 レボリューション」が、2023年1月に開催されたマイアミ カヴァルケード コンクールデレガンスで世界初公開された。
“地球上でもっとも速いロードカー”になることを目標とし、2017年11月にSEMAショーで初めて発表されたヴェノム F5は、時速300マイル(約483km/h)以上の達成を目指して開発されたミドシップのスーパースポーツだ。
10秒かからず時速300キロまで到達
最高出力1817bhp(1842ps)を発生する6.6リッターV8ツインターボエンジンを、アクティブエアロの採用などによる優れた空力性能を備えたボディに搭載。シャシーやボディにカーボンを用いることで、軽量化が図られている。これらにより、0−186マイル(約300km/h)加速は10秒未満。0−400−0km/hは30秒未満で行うことが可能となっている。そして、最高速度は時速300マイル以上と予測されているという。
ヴェノム F5は24台の限定で、2021年5月にワールドプレビュー。同年8月のモントレー カーウィークにおいて完売(約2億7300万円)したことが発表されている。
また、2022年のクエイル モータースポーツ ギャザリングでは、オープンモデルのヴェノム F5ロードスターが登場している。こちらは30台限定で価格は300万ドル(約3億9000万円)。エンジンなどはクーペモデルと共通となり、カーボン製の着脱可能なルーフ(約8kg)が用いられている。さらに、ジェット機用に開発された強化ガラスを用いた、エンジンビューウインドウを備えているのがロードスターのポイントだ。
ちなみに、車名のF5は竜巻や突風の強さ(風速)を測る藤田スケール(Fスケール)の最大値であるF5からとられている。F5は風速117〜142m/sとなり、住宅やクルマなどが跡形もなく吹き飛ばされるレベル。日本では計測されたことがないという。
徹底的な軽量化と空力性能の向上が図られている
そして今回、3番目のモデルとして登場したのが、クーペをベースとしサーキット走行に特化した「ヴェノム F5 レボリューション」だ。サーキットでの究極のパフォーマンスを実現すべく、再設計されているという。
エンジンはベースのクーペと同じ最高出力1817bhpを誇る6.6リッターV8ツインターボエンジン「Fury」をレース用に再調整し、ミドシップに搭載する。組み合わせるのはシングルクラッチのロボタイズドミッション。ルーフにはフレッシュエアを取り入れるエアスクープが新たに追加されている。
室内外にカーボンを多用する
他モデルと同様のカーボン製モノコックシャシーを採用するボディは徹底的に軽量化されており、車両重量はシリーズ最軽量の3000ポンド(約1360kg)以下を実現した。
ほとんどのスイッチ類を配したレーシングカーのようなステアリングが備わる室内もカーボンを採用。ラップタイムやGなど、サーキット走行時のさまざまな数値が表示可能な、デジタルトラックテレメトリーが備わっている。
圧倒的な走りを実現するため足まわりも進化
そして、レボリューションのポイントは空力の強化、サスペンションの再調整。エンドプレートが装着されたカーボン製リアウイングは186mph(約300km/h)で800ポンド(約362kg)以上、249mph(約400km/h)で1400ポンド(約635kg)以上のダウンフォースを発生させる。
さらに、フロントスプリッターやリアディフューザーなどにより空力を最適化。足まわりは調整可能なダンパーを備えるダブルウィッシュボーンサスペンションを採用し、アライメントもサーキット向けの仕様に。また、新デザインの鍛造ホイールと、マルチピストンキャリパーを備えるカーボンセラミックブレーキが装着されている。
「ヴェノム F5 レボリューション」は24台のみの生産とされており、価格は270万ドル(約3億4800万円)となる。