FRのコンパクトハッチという圧倒的個性を誇った「1シリーズ」
初代BMW「1シリーズ」(1er、E87型)の本国での登場は2004年のこと、同じ年、日本市場での展開も始まった。事実関係でいうと、上級の「3シリーズ」がE36型の時代に、そのシリーズ派生モデルとして設定されたコンパクト(E36/5・ti)に始まり、それがE46型(E46/E)まで2世代続き、このE46/5を先代としてバトンタッチする形で登場したモデルである。
スポーティながらもカジュアルさをまとったスタイリング
それまでは3シリーズの派生だったが、1シリーズとして独立し、3シリーズとは別のよりコンパクトなクラスとして位置づけられた。ちなみに「ti」は3シリーズの前身にあたる「02シリーズ」の時代に設定のあった「2002tii」(ツーリング・インターナショナルのインジェクション仕様)を思わす呼称であり、往年のBMWファンなら少なからず「おぉ!」と思わせられたもの。それだけで、走りへの思いが伝わった。
そして初代1シリーズは、3シリーズの派生モデルの位置づけにあったそれまでの「3シリーズti」に対して、より独立したモデルとして位置づけられたのが特徴。それはスタイリングにもいえて、3シリーズtiは第1世代が当時のE36、2世代目がE46と、いずれも当時の3シリーズセダンのトランクをカットしたようなフォルムだったのに比べると、1シリーズは同じ2ボックスながらより独自路線のスタイルが与えられた。FRらしく重心を後ろに乗せたフォルム、肩口をつまんだように通したキャラクターラインなど、キリッとした味わい。
◎BMW LIFE (af imp LIFEシリーズ) (CARTOP MOOK)
ちなみに当時の同世代のBMWを振り返ると、E90型5代目3シリーズは1シリーズ翌年の2005年の登場だったが、5シリーズ(E60型・5代目)、6シリーズ(E63型・2代目)そして7シリーズ(E65型・4代目)、さらにSUVの初代X3(E83)と、いずれもエッジを効かせてややトガったスタイルをまとっていた時代。そのなかにあって、スポーティでシャープながらもコンパクトクラスらしいカジュアルさもあるスタイルでまとめられていたのが特徴だ。
前後重量配分はもちろん50:50
メカニズムは3シリーズ(E90型)との共通項を見出すことができ、カタログの諸元表を見返すと、サスペンション形式はフロントがダブルジョイントスプリングストラット式、リアが5リンクコイル式と、これはE90と同一表記であり、フロントがアルミニウム合金製であるところも同じ。それとBMWらしくこの1シリーズでも「前後約50:50の重量配分」であることもカタログには謳われている。
搭載エンジンは、直列4気筒DOHCの3機種でスタートしている。「116i」、「118i」、「120i」の3モデルが揃い、116iが1.6L(115ps/15.3kg-m)、118i(129ps/18.4kg-m)と120i(150ps/20.4kg-m)がともに2Lながらスペック違い。筆者はBMWに関して完璧にスペックを掌握している自信はまったくないが、たしかエンジン排気量ではなくエンジン出力でグレード名を表わすようになったのはこの頃から始まったように記憶している。
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