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ベルトーネのワンオフBMWがあった! 10万キロも走ったコンセプトカー「2800スピカップ」は4700万円で落札

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TEXT: 長尾 循(NAGAO Jun)  PHOTO: Bonhams/BMW

オランダのディーラーで社用車として活躍

ショーでの役割を終えた後、このスピカップはオランダの自動車ディーラーが購入しナンバーを取得。その後長い期間、同社の社用車として日常の足として使われ、走行距離は10万kmに及んだという。これはおそらく世界でもっともオドメーターを刻んだワンオフのショーカーといえるだろう。

その間にスピカップは相応に劣化が進んだことから完全なレストアを施すこととなり、ミラノのカロッツェリア・グラントゥーリズモに運ばれた。ワンオフのショーモデルということから、レストアには多くの苦労もあったそうだが、カロッツェリア・ベルトーネが生み出したユニークなデザインや特殊なルーフ機構、そしてエンジンやサスペンションなどのドライブトレインまで、スピカップは完全に1969年当時の新車の状態に復元された。

蘇ったスピカップは、2009年にイタリア北部コモ湖畔で開催されたヴィラ・デステのコンクール・デレガンスの会場で二度目のデビューを果たし、さらに2010年の夏にはBMWミュージアムでも展示された。スピカップはそれらの会場で、1969年当時とはまた別の意味で、世界に大きなインパクトを与えたのである。それは優れたショーカーの持つ普遍的なオーラと、さらにそこに加わった「個体の持つ唯一無二のヒストリー」によるものだと言えよう。

■AMWのミカタ

このBMW 2800スピカップは2011年10月にBMWミュージアムで開催されたボナムス(Bonhams)オークションに出品され、46万ユーロ(当時のレートで邦貨換算4700万円)にて落札されている。現在のオーナーは不明ではあるが、大切に保存されて、ふたたび大衆の眼前にその姿を現す日が来ることを祈りたい。

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  • 長尾 循(NAGAO Jun)
  • 長尾 循(NAGAO Jun)
  • 1962年生まれ。デザイン専門学校を卒業後、エディトリアル・デザイナーとしてバブル景気前夜の雑誌業界に潜り込む。その後クルマの模型専門誌、自動車趣味誌の編集長を経て2022年に定年退職。現在はフリーランスの編集者&ライター、さらには趣味が高じて模型誌の作例制作なども手掛ける。かつて所有していたクラシック・ミニや二輪は全て手放したが、1985年に個人売買で手に入れた中古のケーターハム・スーパーセブンだけは、40年近く経った今でも乗り続けている。
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