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20番目のBMWアート・カーを大胆予想! ル・マンを闘うレース車両になる!?BMWの「アート・カー」の歴史を振り返ろう【Vol.02】

オラファー・エリアソン/BMW H2R (2007)

1975年から続くメーカー公式のアーティスト・コラボ車両たち

20世紀以降の絵画や彫刻などの分野では、自動車を題材としたマスターピースが数多く制作されてきたが、それとは逆にクルマそのものを表現媒体としてしまった美術作品も少なからず存在するようだ。その代表例として挙げられるのが、BMWが長らく展開してきた数々の「アート・カー」たちだろう。

BMWでは1975年から不定期的にアート・カー・プロジェクトを展開し、現時点で19点の素晴らしい「作品」が公開されている。今回はその19台のうち、11台目から最新の19台目までをご紹介しよう。

その11 A. R. ペンク/BMW Z1(1991)

ドイツ・ドレスデン生まれのアーティスト、A. R. ペンク(本名ラルフ・ヴィンクラー)が手がけたのは、もはやクルマ自体が芸術的かつ稀少なBMW「Z1」。前史時代の洞窟壁画からインスピレーションを受けたというペンクは、抽象的な図形と記号をデザインしたと言われている。

その12 エスター・マラング/BMW 525i(1991)

BMWアート・カー12番目にして、史上初の女性アーティスト作品となったのは、南アフリカのエスター・マラングが1991年に制作したE34系「5シリーズ」。アフリカ文化へのオマージュを表現したデザインで構成されている。「ンデベレ柄」として知られているこのデザインは、マラングいわく「私の部族が家を装飾する方法」に由来しているそうだ。

◎BMW LIFE (af imp LIFEシリーズ) (CARTOP MOOK)

その13 サンドロ・チア/BMW M3 GTR(1992)

イタリア人アーティスト、サンドロ・チアは、アート・カーのデザインを自らBMWに持ちかけ、「M3 GTR」をベースに実現に至った。車両全体にあしらわれた、目を見開いた顔たち。この作品を見る誰しもが、あたかも自分が四方から観察されているように感じる。チアは次のように述べたという。「すべての目がこのクルマに引きつけられます。クルマを凝視する人々。このクルマは、そんな彼ら自身の視線を反映しているのです」

その14 デイヴィッド・ホックニー/BMW 850 CSi(1995)

イギリスのスーパースター的アーティスト、デイヴィッド・ホックニーにBMW側からのアクションで粘り強い交渉の末、「850 CSi」のアート・カーが実現した。ホックニーは、ペイントを施すために車両を分解して制作するという複雑な方法を採り、クルマの外殻に覆われたその奥にあると信じるもの、つまり、自動車の素晴らしいテクノロジーを表面化させたという。

その15 ジェニー・ホルツァー/BMW V12 LMR(1999)

1999年のル・マンに出走したBMW「V12 LMR」の1台は、アメリカの女性アーティスト、ジェニー・ホルツァーが手がけたアート・カー。彼女独自のスタイルにより、レースカーの白いボディに反射するクローム文字と蛍光ホイルを用いて、人間の思考や感性を刺激するようないくつかのスローガンを描き込んだ。

その16 オラファー・エリアソン/BMW H2R (2007)

前回から8年後、2007年に発表されたアイスランド系デンマーク人、オラファー・エリアソンの作品は、BMWアート・カー・シリーズにおけるそれまでのどの作品からもかけ離れたものだった。最初は、巨大な冷凍室の中で小さな金属板に水を吹きかけて作られた繭のような物体が佇んでいるだけだが、この繭を溶解させると、中から水素で動くレーシング・プロトタイプが姿を見せる。これが社会の持続可能性に取り組むための、エリアソンのアプローチというのだ。

その17 ジェフ・クーンズ/BMW M3GT2(2010)

2010年にBMWアート・カーの誕生35周年記念として、今世紀を代表する米国のポップアーティスト、ジェフ・クーンズに依頼して、通算17台目となる「M3GT2」を制作。ポップアートの復活とBMWアート・カー・シリーズの原点回帰を示すものとして、同年のル・マン24時間レースにエントリーさせた。

◎BMW LIFE (af imp LIFEシリーズ) (CARTOP MOOK)

その18 ジョン・バルデッサリ/BMW M6 GTLM(2016)

カリフォルニア出身のアーティスト、ジョン・バルデッサリは自身のスタイルに基づく要素を極めてミニマムに、しかしより大胆に活用することで、大きな効果を求めた。ドライバー側のドアに書かれた文字「FAST」が、そのすべてを物語っている。

その19 ツァオ・フェイ/BMW M6 GT3(2017)

現時点における最新のBMWアート・カーは、中国のマルチメディア・アーティスト、ツァオ・フェイによって生み出された。レーシングマシンの象徴であるカーボンにフォーカスし、プロジェクトの背景にもブラックを採用。専用アプリをダウンロードすれば、拡張現実(AR)機能によってカラフルな光の粒子や帯が「M6 GT3」の頭上で戯れるアートを愉しむことができるという。

◎BMW LIFE (af imp LIFEシリーズ) (CARTOP MOOK)

記念すべき20番目のアート・カーはいつ登場する?

このBMWアート・カー・ギャラリーの19作品を鑑賞したあと、AMW閲覧者諸兄はこう思うかもしれない。アート・カー・プロジェクトの節目となる20番目はいつ登場するのか……? この伝説的なBMWコレクションで次に名を残すアーティストは誰になるのか……? そして、BMWのどのモデルが使用されるのか……?

アートについてはまったくの素人である筆者には、次作をどんな作家が担当するかの予想はまったくつかない。でも、登場時期とベースモデルについて希望的観測を含みつつ予想すれば、おそらく発表の場となるのはBMWアート・カー50周年を迎える2025年のル・マン24時間レース。そして車両はGTEカテゴリーか、あるいは2023年から「IMSAウェザーテック・スポーツカー選手権」の新たなトップカテゴリーとなるGTPクラスへの投入が決定している、新型LMDh規定マシンになるのではないだろうか……?

どんなかたちで現れるにしても、今後の展開がとても楽しみなのである。

◎BMW LIFE (af imp LIFEシリーズ) (CARTOP MOOK)

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