今でもドリフト大会ではセダンが活躍中
ドリフトで根強い人気を誇る4ドア車。トヨタなら「マークII/クレスタ/チェイサー」の3兄弟、日産では「スカイライン」に「ローレル」や「セフィーロ」と、モデルとしては古いものの今でも姿を見ることが多い。
日産「シルビア」やマツダ「RX-7」といった定番のスポーツカーに比べれば、ドアの枚数が多いだけ車体は重く不利であるように感じる。それでも4ドアを選ぶ理由は何なのだろうか。
ライバルと差をつけるために選ばれた
ドリフトの大ブームが巻き起こった1990年代、主力と呼べるマシンはS13シルビア&「180SX」、そしてFC3SのRX-7やAE86「レビン」&「トレノ」だった。当時はストリートがメインで車速などを計測し採点するワケではなく、いわば「目立ったモノ勝ち」なので定番マシンだとライバルに埋もれてしまう。そこで注目されたのが4ドアだ。
スカイラインは2ドアとエンジンは変わらず、ローレルやセフィーロも同じRB20DETを積み、ありがたいことに5速MTのグレードもあった。マークII系なら280psを発揮する2500ccターボの1JZ-GTE搭載グレードがあり、過激な使われ方をしていないためボディや機関の状態も悪くない。
車重は軽量化である程度まで2ドア車との差を小さくすることができ、レースと違いハードブレーキングを繰り返すこともなく、加速性能もパワーアップで比較的カンタンに相殺できる。4ドアはボディ剛性が劣るという指摘もあったが、現在のように競技化が進んだドリフトなら話は別として、ストリートや走行会レベルならさほど気にはならない。
4ドアならではの利点も支持された理由のひとつ
さらに、2ドアにはないメリットも少なからず存在する。まずはリアシートを倒すか外すことで、積載量が飛躍的にアップすることだ。知ってのとおりドリフトはタイヤの消耗が非常に激しく、帰り足の分を含め何セットか持っていくのが当たり前。当然パワーが上がればタイヤのサイズも大きくなる傾向で、その点において4ドアは大きなアドバンテージがある。後席を戻せばファミリーカーとして使用でき、2ドアよりユーティリティ性が高いのも魅力だ。
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今となってはFRというだけで中古車は高値になる状況だが、昔は4ドアセダンで需要が圧倒的に多いのはATであり、MTは敬遠され相場が安かったことも人気を後押しした。ドリフトで実績がある4ドアには冒頭で挙げた車種を筆頭に、MTの載せ替えや公認車検が必要となるがトヨタ「アリスト」や「クラウン」、「アルテッツァ」や「ヴェロッサ」や、毛色は違えどマツダ「RX-8」などが挙げられる。