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BMW「i8」が切り拓いた「電動スポーツカー」の世界。いま見ても古くない「i8」の先進性を振り返りましょう

BMW i8

もはや各スポーツカーブランドが電動モデルを出す時代

今や好むと好まざるとにかかわらず世界の自動車マーケットは電動化へ向かっています。スポーツカーにおいてもBEVのポルシェ「タイカン」が最も有名ですが、フェラーリもプラグインハイブリッドの「SF90ストラダーレ」や「296GTB」をリリースし、2025年に完全EVモデルを発表する計画です。そんな現在の電動スポーツカーの潮流を先駆けた、BMW「i8」を振り返ってみましょう。

2013年に「i3」と相次いでデビュー

BMWの「i8」は、2013年に電気自動車(EV)の「i3」と相次いで市場導入されたプラグインハイブリッド車(PHEV)だ。

i3はメガシティヴィークルの概念の基に開発された。都市部での利用を前提に車両諸元が定められ、車体全長は4mを切り、車載バッテリー容量は当初22kWhでしかなく、これは現在の日産「サクラ」/三菱「eKクロスEV」の20kWhに近い。

◎BMW LIFE (af imp LIFEシリーズ) (CARTOP MOOK)

これに対しi8は、そうした電動化が進む時代のスポーツカーを想定した開発がなされ、BMWの「駆けぬける歓び」を体現するようなクルマである。EVでは、当時はまだ走行距離への懸念が残っており、PHEVとして生まれた。スーパーカーのようなバタフライドアを採用したところにも、電動化時代のBMWの行く先を示す象徴的な存在であった。

軽量なプラグインハイブリッドで気持ちよく加速

車載される動力は、省エネルギーを前提とした諸元で、後輪は排気量1.5Lのガソリンターボで駆動し、ミッドシップに搭載されている。前輪はモーター駆動によるプラグインハイブリッド車であった。

0~100km/hは4.4秒で到達し、最高速度は時速250kmであった。1.5LのガソリンターボエンジンはBMW「ミニ」にも使われているもので、直列3気筒である。しかし、ミニで運転したときよりも軽快に走る印象があったのは、車両重量がわずか1500kgに抑えられていたからだろう。また、空力を徹底追求した外観により、限られた動力性能であっても250km/hを実現できていたといえる。

◎BMW LIFE (af imp LIFEシリーズ) (CARTOP MOOK)

SDGsの時代に「駆けぬける歓び」を表現する試み

バタフライドアを開けて乗り込む様子は、まさにスーパーカー的で快い緊張を味わわせる演出であった。しかし運転は難しくなく、前方の視界もよく、誰もが操作できる身近なスポーツカーと思わせた。また、アクセルペダルを深く踏み込むと、大排気量の多気筒エンジンのような音が室内に轟き、環境性能を意識したつくりであることを忘れさせる情熱を伝えてきた。

車外騒音規制が厳しさを増すなか、今日では車内に猛々しさを演出するエンジン音を轟かせることが広まっているが、i8はその先駆けとなる1台であったといえる。その延長線として、BMW最新のEVである「iX」は、エンジン音とは別の走行音を車内で聞かせる演出を選べるようにしている。

駆けぬける歓びをEV時代にどう演出するかを摸索するBMWである。

◎BMW LIFE (af imp LIFEシリーズ) (CARTOP MOOK)

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