マイスターが手作業で組み上げるダウンサイジングエンジンを搭載
国内では2021年6月に発表された現行(W206)Cクラス。2022年10月、ようやく待望のAMGモデルとなるメルセデス AMG「C43 4MATIC+」セダン&ステーションワゴンが追加された。
先代のC43は3L V6ツインターボエンジンを搭載していたが、2L 直4ターボへと変更されたのが大きなポイントだ。大幅にダウンサイジングされたとはいうものの出力は先代よりも向上しており、最高出力408ps・最大トルク500Nmと、リッターあたり200psオーバーを発揮している。
ターボラグのない自然吸気エンジンのようなフィーリングが得られる
この2L直列4気筒エンジン「M139」は、AMGの伝統である「One man, One engine」の哲学にのっとり熟練のマイスターが手作業で組み上げるもの。現行型A45に搭載されているものとベースは同じユニットだ。
C43と同タイミングで発表された新型SL43も同じユニットを搭載しているが、そちらは最高出力381ps・最大トルク480Nmと少し控え目に抑えられている。ちなみに、先代の3L V6エンジンはAMG謹製ではなかったため見られなかったが、このM139のエンジンカバーには、生産を担当したマイスターのサインプレートが誇らしげに取り付けられている。
そして、SL43とC43のM139には、F1由来の技術というエレクトリック・エグゾーストガス・ターボチャージャーが採用された。これは電気モーターと48V電気システムが組み合わされており、モーターが電子制御でターボチャージャーの軸を直接駆動することで、低回転域やアクセルオフ、ブレーキを踏んだ際にも、常にブースト圧をキープすることが可能というもの。全回転域にわたって、ターボラグのない自然吸気エンジンのようなフィーリングが得られる。
またこの48V電気システム内にあるBSG(Belt-driven Starter Generator)は、出力を16ps高めるブースト効果のほか、高速走行時などにアクセルから足を離すとエンジンとトランスミッションを切り離して燃料消費を抑えるセーリングモードや回生ブレーキにより燃費効率を高めるマイルドハイブリッドとしても機能する。
専用パーツを多く装着
エクステリアは、最新のAMGモデルのデザインアイコンとなっている垂直のルーバーが並ぶ“パナメリカーナグリル”を装着し、迫力を増している。これ以外にも専用デザインのフロントスポイラーや、フェンダー上に配置された「TURBO ELECTRIFIED」のバッジ、一体となったリアのディフューザーと4本出しのテールパイプなどが特別なモデルであることをアピールする。
サイドサポートが大きく張り出した専用スポーツシートに腰掛け、ステアリングの左手にあるエンジンスタートボタンを押すと、野太く軽快な音をたててエンジンが目覚める。運席の目の前に広がる12.3インチの大型コックピットディスプレイやセンターの縦型11.9インチのメディアディスプレイは、ベースのCクラスと同じものだ。
ステアリングは、専用のAMGパフォーマンスステアリングで、手元にドライブモードなどが切り替え可能なAMGドライブコントロールスイッチが備わっている。右手のダイヤル形状のスイッチをまわすことで、「Comfort」「Slippery」「Sport」「Sport+」そして個別設定の「Individual」への切り換えが可能。左手のスイッチでは、出力特性やサスペンションの減衰力、ESPなどの制御を任意で段階的に設定が可能となっている。