オフシーズンは中古市場が活発化
全国各地のサーキットで開催されている、自動車メーカー主導のワンメイクレース。イコールコンディションの争いを楽しむことができ、ホスピタリティが豪華などといった多くの魅力があり、上を目指すドライバーにとっての登竜門でもある。
一線を退いたレースカーは中古車として市場に出ることもあり、とくに現在のようなオフシーズンは活発に売買が行なわれているが、レース参戦を目的とせずに購入するメリットはあるのだろうか。
そのままサーキット走行できる最適な仕様
結論からいえば、価格や車両のコンディションによりけりなのは当然として、ワンメイクレースは考えず通常のサーキット仕様にするのも大いにアリ。最大の理由はドライバーの身体を事故から守る、ロールケージが間違いなく装着されている点だ。
バケットシートやシートベルトは純正に戻される可能性もあるが、脱着の手間を考えるとロールケージまで取り外すことは考えにくいだろう。足まわりも同様だ。カテゴリーによって車高調かノーマル形状かの差はあれど、サーキットを全開で走りレースができる性能であるのは確か。ダンパーが抜けていたりクラッシュで曲がっていたりせず、大きな不満がないのであれば、わざわざ別の足まわりに買い替える必要はない。
また、スペアのタイヤやホイールが付属する可能性もあり、上位を走っていたクルマなら目標とすべきタイムも明確。それでいてナンバー付き車両ならディーラーに入庫できる完全な保安基準適合であり、エンジンは基本ノーマルなので扱いやすさや耐久性も上々だ。
ベース車両としてさらに手を加えるのも楽しい
ワンメイクレース仕様はあくまでベースとして、さらにチューニングを進めるというのも面白い。ナンバー付きレース車両のほとんどは静かなマフラーに純正交換タイプのエアクリーナー、制御系もスピードリミッターを含めノーマルなので手を入れられるべき部分はいくらでもある。パワーが物足りなければ過給器をボルトオンするのもいいだろう。その結果ブレーキが心許なくなったらビッグキャリパーを装着するなど、制約のない世界だけにクルマ作りの方向性は無限大なのだ。
ちなみにワンメイクレースが新型に切り替わると、価格は一気にリーズナブルになる傾向が強い。今ならトヨタ「ヴィッツ」（NCP131）と「86／スバルBRZ」（ZN6／ZC6）が年式も新しく、アフターパーツも豊富に揃っているため狙い目といっていいだろう。
＊ ＊ ＊
いずれにせよサーキット走行を楽しむため、ワンメイクレース車両を買うのは大いにアリ。最初からある程度のチューニングが済んでおり、スペアパーツがオマケで付く可能性があり、旧型はコストパフォーマンスもバツグンに高い。初期投資を抑えてガンガン走り込んで練習したい人、チューニングのベースとして使いたい人にはとくにオススメする！