完成したログハウスの過ごし方とは
コロナ禍に始まった、おとなの山遊び。これまではログハウスやファイヤピットなどの製作過程をお届けしました。筆者が遊ぶ山は、冬になれば除雪も入らないという厳しい状況。しかし、その厳しい冬山を贅沢に楽しんでいます。そこで今回は冬山での過ごし方について紹介しましょう。
不自由な冬だからこそ贅沢な時間を楽しむのが醍醐味
前回までは森の開拓が始まったきっかけ、そして初期の作業を手短にまとめてみた。早々にログハウスを完成させ宿泊できるようにしたのは、悪天候や野生動物から身を守る避難所としての意味もあるが、イチバンは雪で作業できない冬を楽しく快適に過ごすため。この地域はただでさえ雪が多いうえ狭い谷間なので雪が溶けにくく、おまけに定住者もゼロなので除雪などされるワケがない。
基本的に1月の中旬からは自分のリフトアップしたジムニーでも入れず、手前に駐車してスノーシューを履きひたすら歩くしかないのだ。こう聞くと「わざわざ行かなくても」と思うかもしれないが、個人的には何もしない贅沢を味わうだけの冬こそベストシーズン。春から秋はのんびり過ごすよりも作業に追われ、食事も「コンビニでいいか」となってしまう。だが冬なら到着してすぐコーヒーを豆から挽いてパーコレーターで淹れ、音楽を聴きつつ本を読んだりカードゲームに興じたり次の作業を話し合ったり……。贅沢な時間を満喫している。
しっかり断熱対策を取ったログハウスは暑いほど!
また、いい意味で予想を裏切ってくれたのはログハウスの暖かさ。冬は外気温が-10℃以下になるのも当たり前な地域なので、石油ストーブ2台に-15℃まで対応するスリーピングバッグ、万が一に備えて電気毛布とポータブル電源まで持ち込んでいた。
ところが実際は最初こそ反射式と対流式の石油ストーブを併用するものの、いったん暖まれば対流式を弱火にするだけで室温は25℃前後をキープでき、料理でバーナーを使ったりすればその熱で汗ばんでしまうほど。床に断熱の銀マットを敷いた影響もあるかもしれないが、木材の暖まると冷えにくいという蓄熱性を体感できた。プロの仕事だけあり隙間風もまったく入らず、窓ガラスは大きさに関係なくすべて二重。建ててから半世紀は過ぎているであろう、自宅よりはるかに暖かくて過ごしやすい。
とくに自分はロフトで寝るためさらに温度が高く、冬用のスリーピングバッグは一度も出番はなく、3シーズン用のジッパーを閉めたことすらないほど。なお換気のため小さな窓ふたつはつねに開けっぱなしだが、それでも寝ている最中に寒さを感じたことは一度もない。よく聞く「ログハウスは夏が涼しくて冬が暖かく過ごしやすい」という話は、木材の厚さや施工方法や窓の仕様などで差はあるにせよ事実だった。