「OAM2023」日産京都自動車大学校の作品は「フェアレディ」がテーマ
「ネオフェアレディ」をコンセプトに製作されたクルマの正体は懐かしの日産「K11マーチカブリオレ」だった。このクルマは日産京都自動車大学校のカスタマイズ科の生徒13名が集まって製作。実はもう1台のムラーノベースの「フェアレディX」と製作は同時進行で行われたそうだ。
ベースは「K11マーチコンバーチブル」
フロントから見ると「SR311フェアレディ」にしか見えない作り込みが印象的なネオフェアレディ。Z世代の間でトレンドになっているレトロ感を車両に取り入れ、昭和の名車を再現しつつ、現代風の要素を取り入れた1台として製作。リゾート感を漂わすオープンスポーツカーでありながらも、走りも楽しめ、見た目以上に面白いクルマを完成させた。
ベースにしたK11マーチコンバーチブルがAT車だったので、まず最初にトランスミッションをMTに載せ換える作業からはじめた。そして、ボディ造形に関しては、たまたまネットでSR311フェアレディのFRP製のボディパーツを発見。すでに手に入らない純正部品だけに、当初は製作が難しいと思っていたそうだが、このパーツのお陰で状況が大きく変わり、K11マーチのSR311フェアレディ化の道筋が出来上がった。
FRP製のボディパーツについては、フロントフェンダー、ボンネット、リアフェンダー、トランクといったパーツを入手することが出来た。
外装パーツが手に入ったと言っても、それをK11マーチに装着するとなれば、やはりそれなりの加工が必要になる。幸いにもFRPパーツは加工もしやすかったので、マウント位置を工夫し、縮めたり伸ばしたりの作業を行い、バランスを考えながらセット。より旧車感を出すために、ハコスカ用のチンスポを追加装着させたのもポイントだ。
また、ヘッドライトについては、本物が旧車ブームの影響によって高値で取引されているので、似たようなサイズの電球タイプ丸ライトを探し装着。セットしたのはプラド用のヘッドライトということだった。ヘッドライトは他車種からの流用だが、ウインカーはUS日産で扱っていた純正ウインカーがあったのでコレを購入し装着している。
「パオ」のパーツを流用して前ヒンジに
フロントセクションのこだわりは、しっかり昔ながらの前ヒンジ/後ろ開きのボンネットに変更している点だ。そもそもボンネットはSR311フェアレディ用を使用したので、ヒンジの事を考えると純正同様に合わせるしかない。この問題はちょっと厄介だったが、よく探してみると日産パオのヒンジが使えることが判明。これを取り付けて、問題を見事に解決させた。
リアについてはフロントと同じくSR311フェアレディのFRPボディパーツを装着。残念ながらリアの灯火類は似た物がなく、ここのデザインを変えてしまうとイメージが崩れるので、純正を手に入れてセットしている。
また。燃料の給油口もリアに移設。レトロな雰囲気のキャップは携行缶から流用したというから面白い。
ボディカラーはオープンボディのお洒落さをアピールするべく淡いスカイブルーをオリジナル調合で作り出した。このカラーセンスはメンバー内の女子学生が浜辺を走って気持ちよさそうな色として決めたそうだ。
この爽やかなボディカラーに映える白いホイールは、復刻モデルとして話題の14インチのレイズTE37Vをセット。足回りについては、ラルグスの車高調キットを装着し、軽快な走りと共にベストなフォルムを追求している。また、走りのイメージ付けとしては、シーウエストのGTウイング、レカロのバケットシート、フジツボマフラーといったパーツからも読み取ることができる。
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ネオヒストリックという名のコンセプトモデルとして登場したネオフェアレディ。所々に仕込んである本物の旧車パーツとの融合が、現代のクルマにはないレトロ感を引き出し、オジサンたちにとってたまらない雰囲気のクルマとして仕上がっていた。