ローテンプサーモスタットのメリットとデメリット
なのでサーモスタットがある限りはオーバークールにはならないハズなのだが、サーモスタットを交換していると話は別だ。
冷却系チューンの初歩として、サーモスタットの作動開始温度を下げることが多い。純正サーモスタットは開く温度が88℃とか90℃あたりが多いが、そこまで熱をもつ前に循環させることで、エンジンのヒートを防ごうというチューニングパーツなのだ。サーキット走行ではこれだけでも水温が危険な温度になるまでの時間をかなり稼ぐことができ、サーキットでの1枠15分くらいの走行なら乗り切れてしまったりするのだ。
そういった狙いから、低い温度で開くローテンプサーモスタットが入ってることがあるのだ。開く温度が商品によっては60℃台からというものもある。そうなると街乗りではその温度で安定してしまい、先述のオーバークール状態になってしまうのだ。
オーバークールがひどければサーモスタットの交換を
ラジエターに段ボールを貼るとか、ガムテープを貼るとかしても改善策としてはあまり効果はない。ラジエターに循環するだけで気温の低い季節は十分に冷却されてしまう。まずは、OBDコネクターから水温表示できる物でいいので水温計を付けて具体的な温度を把握。そのうえで、もしも低すぎる温度で安定しているようなら、サーモスタットの交換などの対策を考えたい。
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ちなみに筆者が昔乗っていたトヨタ「ヴィッツ」のレースカーはサーモスタットに穴が開けられていた(あとで知ったのだが)。水温対策だったようだが、真冬は水温が60℃くらいから上がらず、暖房は効かないし燃費は悪いし……。ラジエターにガムテープを貼ったがまったく効果はなく、段ボールをラジエター前に入れたらかなり効果があった。しかし、今度は渋滞にハマるとヒヤヒヤするくらい温度が上がるようになって、エアコンを入れて電動ファンを回して水温を下げるというアナログ制御で冬場を乗り切っていたのだった。