実用性はもちろん、企業の「動く看板」としても活躍
明らかに過去のJタイプに着想を得たデザインは、日本人には1990年代の日産パイクカー的で、ほとんど既視感あるテイストかもしれない。しかし雰囲気だけがレトロで、中身は最新というか、ランニングコンポーネントは100%EVだ。公式サイトによれば最先端のバッテリー技術とカーボンファイバー・ボディ、インテリアやダッシュボードにはリサイクル可能な素材をふんだんに用いて、WLTPモードで航続距離250マイル(約400km)を実現可能という。車重は約2.5tにも達するが積載量は1tあり、荷室は6平米ほどの容量を確保しているとか。
さらにモーリスJEがモダンというか今日的といえるのは、使われ方、すなわちソフト面だ。ロンドンのようなゼロエミッションの度合いが高いほど中心地へのアクセスが優遇される都市部では無論、商用EVはきわめて実践的なバンといえる。さらにボディサイドは、中小の自営業者や各業種のあらゆるブランドが、リアルなモビリティ世界でのアピールの場とできる、そんな広告用のキャンバスともなる。
郵便配達車として英国を走り回るかも
現段階では量産を前にして、もう今一歩の融資を必要としている段階だが、すでにレッドブルやロイヤル・ポスト(英国の郵便局)といった欧州の巨大法人らが強い興味を示しているとのこと。公式サイトでは2022年末よりプリオーダーを受け付けているものの、集まった資金は市販まで第3者機関によって信託される予定だとか。単なる勢いだけのスタートアップではないやり方で、EVで英国車を、しかも商用車を復活させようという動きゆえ、可愛さだけでないところで注目されているようなのだ。