ホンダN-VAN
一方、N-VANは熟成が進み、ドラポジこそ商用車的だがターボモデルならトルキーで山道や高速道路を含むあらゆるシーンで走りやすく、ブレーキ性能もなかなか。しかも意外なほど静かでスムースに走ってくれるのだ。12インチ商用タイヤ装着だから操縦安定性ではスペーシア ベースに敵わないものの、タイヤをアップグレードする方法もある。
ただし、後席はもちろん助手席まで簡易シートとなっていて、長距離・長時間のドライブでまずまず快適に座っていられるのは運転席のみ。そのぶん、格納前提の助手席までフルフラットに倒すと、ホビーユースの+STYLE FUNの場合は最大2560mmにも達し、高身長でも1人なら思いっきり足を延ばせるフルフラットスペースが出現する。左側センターピラーレスのボディだから、解放感あるアウトドアの基地としての利用もOKだ。というわけで、ソロのアウトドアではなかなかの使い勝手を披露してくれるのがN-VANだ。
ダイハツ・アトレー
アトレーは、FFベースのスペーシア ベースやN-VANとは違うキャブオーバータイプの純軽商用車。メリットとしては鼻先にエンジンを積まないため、室内長を長く取れるところにあり、後席の実用性はクラスベスト(小さな子どもなら不満なく座っていられるだろう)。
荷室は幅方向にも余裕があり、ディーラーオプションとして布張りのラゲージボード2枚セットを用意。最大ベッドスペースは1820mmに達する。ただ、ターボのみとなるのはともかく、運転感覚は前輪のインフォメーションが掴みにくい、商用車然としたものになる。
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こうして見ると、AC100V/1500Wコンセントも使えて、後席とマルチボードの組み合わせで、オプションなしで荷室周りのアウトドア向けアレンジが自在となるスペーシア ベースのアウトドア適応度は際立つ。唯一のウィークポイントはNAエンジンのみの設定というところだが、のんびりゆっくり走るアウトドア派にとっては、むしろ操縦安定性や乗り心地、日常域に加えてクルージング中の静粛性などの優位点が勝るかもしれない。
欲を言えば、スペーシア ベースにターボモデルがあれば万能だが、スズキとしてはワゴンRスマイル同様、リーズナブルな価格で提供したい思いがあるのだろう。筆者なら、内外装デザイン、使い勝手、走行性能を含め、迷わずスペーシア ベースを選ぶ。