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真のアウトドア向き「軽商用車」とは? 「N-VAN」「アトレー」「スペーシア ベース」の3台を比べて一番を決めました

アウトドア派にとって軽商用車は、軽キャンのベース車となっていてるほど人気がある

アウトドア向けのアレンジが自在のスペーシア ベースがオススメ!

いま、熱心なアウトドア派に大注目されているクルマが、軽商用車だ。アウトドア派にとって軽商用車は、軽キャンのベース車となっていて人気を博していることからも分かるように、使い勝手抜群、イジリやすさ抜群のアウトドアカーと言っていい。代表格となる3台を紹介しよう。

軽商用車は経済的メリットが多い

ホンダN-VAN、ダイハツ アトレー、スズキ スペーシア ベースなどがあるが、まずは4ナンバーのアウトドアカーとして、経済的なメリットに注目したい。なにしろ自動車税は乗用軽自動車が年間1万800円なのだ。しかし貨物車扱いになる4ナンバーの軽商用車はなんと半額以下の5000円となる。

もっとも、最初の車検までの期間が2年と短く(ただし、登録者の4ナンバーは毎年車検)、自賠責保険料や任意保険料は、商用の貨物車ということで、逆に割高になってしまうのだが……。

ところで、スペーシア ベースを例に挙げると、5ナンバーのスペーシアとなにが違うかと言えば、それは後席と荷室のバランスだ。軽商用車の場合、後席はおまけ。簡易シートとなり、ざっくり言うと、そのぶん、貨物車としての荷室スペースが拡大されているのである。よって、基本、2名乗車の移動手段、荷物の積載車と考えていい(N-VANは1名乗車推奨)。

では、おすすめのモデルを紹介していこう。

スズキ・スペーシア ベース

まずはスペーシア ベースだ。じつは、ライバルとは成り立ちがまるで違う。ベースは乗用のスーパーハイト系軽自動車のスペーシア(の4WD/スペーシア ベースはFFと4WDが選べる)そのもので、マイルドハイブリッドなしのNAエンジンのみを搭載。タイヤは唯一、乗用車用のワゴンRスマイルと同じ14インチ乗用車用タイヤを装着している(ライバルは商用車用の12インチだ)。

そしてもっとも存在感、堂々感、乗用車感あるエクステリアデザインを実現しているの理由は、フロントマスクがMC前のスペーシアカスタムのものを採用していること。上級のXFグレードの場合、スペーシアのクロスオーバーモデルであるスペーシアギアに装備されるルーフレールが標準装備となる。

さらにフロントグリル、フォグランプベゼル、ドアミラー、ドアアウターハンドル、リアガーニッシュ、アルミホイールには上級感あるブラックパール塗装が施されているのだから、贅沢すぎる成り立ちなのである。しかも、前席はスペーシアと違う、乗用軽用のかけ心地抜群のセパレートシートを採用しているほどだ。

つまり、運転感覚や走行感覚、乗り心地に前席シートのかけ心地、そして居心地や快適感などはスペーシアそのもの。軽商用車感ゼロと言っていいのがスペーシア ベースなのである。乗用軽の乗り心地の実現は、最大積載量を軽商用車で一般的な350kgではなく200kgに押さえていることが決め手。そのぶん、リアサスを乗用車的にセッティングできるのである。

さらに、ワイパブルな荷室には、上中下段の3段にセットでき、縦にも立てられるマルチボードを標準装備。後席も2段階に畳め、畳んだ後席を椅子にしてマルチボードをテーブル化すれば、車内後部がサテライトオフィスやカフェスペースになるのだから気が利いている。

加えて、軽自動車唯一の外部電源ユニットをオプション装備を追加すれば、家の駐車場や電源付きキャンプサイトでは、車内へスマートにAC100V/1500W電源を引くことができ、荷室左サイドにコンセントが用意されるのだ。つまり、ノートパソコンの電源供給はもちろん、車内外でコーヒーメーカーや簡易電子レンジ、照明などを使うことができ、アウトドアカーとしての便利さを大きく高めてくれるのである。

荷室の荷物の積載性も文句なしだ。後席使用時でもフロア奥行780mm、幅920~1254mm、天井高1220mmを確保。いずれもスペーシアギアを凌駕する寸法で、なおかつ後席を格納すれば、フラットなフロア奥行は1345mmに達する。2名のアウトドア、キャンプ用品の積載には十分すぎるスペースだ。スペーシアの天井サーキュレーター部分とリヤクオーターウインドウ部分が収納になっている点も、車内の使い勝手、収納性を高めている。

スペーシア ベースは車中泊性能も文句なしだ。マルチボードを下段にセットし、畳んだ後席と前席シートバックをほぼ水平に倒すと、なんと約1740mmものお座敷&ベッドスペースが出現。大人2名での車中泊も行いやすいのである。

そんなスペーシア ベースだが、やはりNAエンジンのみということで、高速道路や山道での動力性能に不満が出ることもある。勢い、エンジンを高回転まで回す必要に迫られ、車内が騒々しくなるのだが、コツとして、アクセルペダルをグィッと踏み込まず、ジワジワと踏み込むことで、エンジン回転の極端な上昇を押さえ、車内の騒々しさを低減できたりする。

ホンダN-VAN

一方、N-VANは熟成が進み、ドラポジこそ商用車的だがターボモデルならトルキーで山道や高速道路を含むあらゆるシーンで走りやすく、ブレーキ性能もなかなか。しかも意外なほど静かでスムースに走ってくれるのだ。12インチ商用タイヤ装着だから操縦安定性ではスペーシア ベースに敵わないものの、タイヤをアップグレードする方法もある。

ただし、後席はもちろん助手席まで簡易シートとなっていて、長距離・長時間のドライブでまずまず快適に座っていられるのは運転席のみ。そのぶん、格納前提の助手席までフルフラットに倒すと、ホビーユースの+STYLE FUNの場合は最大2560mmにも達し、高身長でも1人なら思いっきり足を延ばせるフルフラットスペースが出現する。左側センターピラーレスのボディだから、解放感あるアウトドアの基地としての利用もOKだ。というわけで、ソロのアウトドアではなかなかの使い勝手を披露してくれるのがN-VANだ。

ダイハツ・アトレー

アトレーは、FFベースのスペーシア ベースやN-VANとは違うキャブオーバータイプの純軽商用車。メリットとしては鼻先にエンジンを積まないため、室内長を長く取れるところにあり、後席の実用性はクラスベスト(小さな子どもなら不満なく座っていられるだろう)。

荷室は幅方向にも余裕があり、ディーラーオプションとして布張りのラゲージボード2枚セットを用意。最大ベッドスペースは1820mmに達する。ただ、ターボのみとなるのはともかく、運転感覚は前輪のインフォメーションが掴みにくい、商用車然としたものになる。

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こうして見ると、AC100V/1500Wコンセントも使えて、後席とマルチボードの組み合わせで、オプションなしで荷室周りのアウトドア向けアレンジが自在となるスペーシア ベースのアウトドア適応度は際立つ。唯一のウィークポイントはNAエンジンのみの設定というところだが、のんびりゆっくり走るアウトドア派にとっては、むしろ操縦安定性や乗り心地、日常域に加えてクルージング中の静粛性などの優位点が勝るかもしれない。

欲を言えば、スペーシア ベースにターボモデルがあれば万能だが、スズキとしてはワゴンRスマイル同様、リーズナブルな価格で提供したい思いがあるのだろう。筆者なら、内外装デザイン、使い勝手、走行性能を含め、迷わずスペーシア ベースを選ぶ。

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