EVではカスタムできる部分は少ないがやってみることが大事
CUSCO、BLITZ、A PITオートバックス東雲の担当者によれば、EVゆえの苦労もあるそうだ。CUSCOの担当者は、
「EVだとカスタムできる部分は少ないのは確かです。電動システムをチューニングできるわけではないのでパワーアップなどはできません。しかし車高調をはじめボディ剛性アップパーツなども今まで通り開発も行っています。ボディが大きく重たい関係で、より入念な開発が必要ですが」
とのこと。しかしまた、先行開発の意義も語ってくれた。
「EVだからといって全ての人がカスタムに興味が無いとは言えず、一定数の人はカスタムをしたいと思っています。そこの期待や要望には応えていきたいです。何年か経てばEVはもっと増えるでしょうし、そのときになって開発を始めるのもアリですが、やはりEVが出始めた今からスタートさせ、ノウハウを蓄積したりユーザーに向けて情報発信することも大事ですね」
BLITZの担当者は、電費とカッコよさを両立させる工夫も取り込んでいるとアピール。
「EVは電費がシビアに走行距離に影響します。エアロを付けてダウンフォースを付けた方が車体の安定性には良いのですが、ダウンフォースは抵抗とも言えるわけで、抵抗が大きいと電費も落ちます。そのため今回開発したエアロでは、フロントリップではあえて真ん中を開けてエアを床下に流すデザインとし、リアもエアが引っかからないようデザインしています」
またA PITオートバックス東雲の担当者はこう語ってくれた。
「テスラはどこかをカスタムをしたことでセンサーが異常を検知すると、そのままオンラインで本社にデータが行き、メーカー保証が切れてしまったりサービスが受けられなくなってしまうことがあるとも聞いている。そういったことが無いようにする知見も重要ですね」
思いもよらないことでユーザーに不利益が起きないようにする配慮も欠かせないようだ。
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いずれにしても、EVならではのできることとできないことを見極めつつ、今までのカスタム好きなユーザーに向けたカッコよさや性能アップのパーツ開発を行っていくしかないのが現状だ。そして、こうしたメーカーやショップの努力によって、EV車のカスタムが進化していくことだろう。