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テスラ「モデル3」や日産「アリア」などのEVカスタム最前線! EVならではの開発苦労話を訊ねてきました

クスコのテスラ

【CUSCO】車高調などで運動性能を高めた

EVのカスタムモデルも展示され注目を集めた

ここ数年でさまざまなEVが登場している。航続距離やシステム出力が何kWだというスペックも非常に重要ではあるが、所有したいと思えるカッコよさも大切な要素のひとつだろう。EVであるため現状の内燃機関のクルマのように、「吸排気に手を加えてパワーアップさせました」というようなことはできない。エアロを装着したり車高を下げてみるなど、できるカスタムは少ないかもしれない。しかし一定数はいるカスタム好きオーナーのために、アフターパーツメーカーはできることに挑戦しているという現状を、大阪オートメッセ2023のEVゾーンで確認できた。

現状は足まわりと内外装に手を加えた仕様が多い

BMW、フォルクスワーゲン、日産、マツダ、三菱、ヒョンデ、BYDと、各社の最新EVがずらりと並んだEVゾーン。その中にチューニングメーカーのBLITZ、CUSCO、カー用品の量販店でありながらカスタマイズにも力を入れているA PITオートバックス東雲が車両展示を行った。

CUSCOはテスラ「モデル3」にお得意の車高調をセットアップ。減衰力32段調整でフロントは-40mm、リアは-50mmまで車高を下げられるサスペンションキットとなっている。そのほか、S-MCBストラットタワーバーが装着されていた。S-MCBとはモーションコントロールビームの略で、高剛性ブラケットと皿バネを利用し、横剛性と振動を吸収する機能をもったタワーバーの1種だ。走行時の微振動などを吸収することで安定性をよくする。

足元はブリヂストン ポテンザS-007A(245/35R20)とエンケイ RS05RR(20×8.5J+36)という大径タイヤ&ホイールを装着。ARTISAN SPIRITSのエアロを装着して低く構えたスタイリングがカッコいい。

同じくテスラ・モデル3をベースにカスタマイズを行ったA PITオートバックス東雲は、オリジナルの30段減衰調整可能な車高調をセットアップ。乗り心地をよくしながら適度にローダウンできる車高調になっている。

オリジナルのフロントスポイラーに加え、サイド、リアの3点エアロキットを装着する。グレーのボディにXPELのステルスペイントプロテクションフィルムを貼ることで、マット塗装を施したようなボディに仕上げている。

内装ではレカロSR-7を装着。じつはテスラでシート交換するのは大変難しく、ひと筋縄ではできないそうだが、A PITオートバックス東雲ではパーツ開発を行いレカロシート装着を可能にしている。また、走行時のタイヤノイズやインバーターの高周波ノイズを低減させる専用のサイレントセットを用意し、車内の快適性アップに繋げている。

チューニングメーカーとしては電脳集団と呼ばれることが多いBLITZでは、日産「アリア」をデモカーとして用意。電脳系ではレーザー&レーダー探知機のTouch-B.R.A.I.N.LASERとEV車やハイブリッドカー専用のスロットルコントローラーをe Thro Conを展開する。

サスペンションはフロント&リアともに32段調整ができる車高調をセット。足元はダンロップ SP SPORT MAXX060+でフロント&リア255/45R20をチョイスし、ホイールはエンケイ RS05RR(20×9.5J+45)を組み合わせる。BLITZオリジナルのフロントリップ、リアスポイラー、リアディフューザーでスタイリングをキメている。

EVではカスタムできる部分は少ないがやってみることが大事

CUSCO、BLITZ、A PITオートバックス東雲の担当者によれば、EVゆえの苦労もあるそうだ。CUSCOの担当者は、

「EVだとカスタムできる部分は少ないのは確かです。電動システムをチューニングできるわけではないのでパワーアップなどはできません。しかし車高調をはじめボディ剛性アップパーツなども今まで通り開発も行っています。ボディが大きく重たい関係で、より入念な開発が必要ですが」

とのこと。しかしまた、先行開発の意義も語ってくれた。

「EVだからといって全ての人がカスタムに興味が無いとは言えず、一定数の人はカスタムをしたいと思っています。そこの期待や要望には応えていきたいです。何年か経てばEVはもっと増えるでしょうし、そのときになって開発を始めるのもアリですが、やはりEVが出始めた今からスタートさせ、ノウハウを蓄積したりユーザーに向けて情報発信することも大事ですね」

BLITZの担当者は、電費とカッコよさを両立させる工夫も取り込んでいるとアピール。

「EVは電費がシビアに走行距離に影響します。エアロを付けてダウンフォースを付けた方が車体の安定性には良いのですが、ダウンフォースは抵抗とも言えるわけで、抵抗が大きいと電費も落ちます。そのため今回開発したエアロでは、フロントリップではあえて真ん中を開けてエアを床下に流すデザインとし、リアもエアが引っかからないようデザインしています」

またA PITオートバックス東雲の担当者はこう語ってくれた。

「テスラはどこかをカスタムをしたことでセンサーが異常を検知すると、そのままオンラインで本社にデータが行き、メーカー保証が切れてしまったりサービスが受けられなくなってしまうことがあるとも聞いている。そういったことが無いようにする知見も重要ですね」

思いもよらないことでユーザーに不利益が起きないようにする配慮も欠かせないようだ。

* * *

いずれにしても、EVならではのできることとできないことを見極めつつ、今までのカスタム好きなユーザーに向けたカッコよさや性能アップのパーツ開発を行っていくしかないのが現状だ。そして、こうしたメーカーやショップの努力によって、EV車のカスタムが進化していくことだろう。

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