RX-7フリーク憧れの3ローターエンジン搭載のFD3Sを展示
クルマを知り尽くした、チューニングのスペシャリストが集うプロショップ団体「CLUB RH9」で、ロータリーエンジンの可能性を今なお追求する「RSパンテーラ(佐藤商会)」。「大阪オートメッセ2023」(OAM2023)には、FD3S型マツダ「RX-7」に3ローターNAエンジンを搭載したロータリーフリークが憧れる究極仕様を持ち込んだ。
駆動系にも手を加えて最適な前後重量配分をキープ
エンジン本体は、1990年~1996年の6年間だけ製造された「ユーノスコスモ」の20Bユニット。単純にターボを取り外しただけではなく、RX-8用の高圧縮ローターやオリジナルのシール類を組み込むなど、内部は現代レベルにアップデートしている。
「13Bターボはチューニングが進むと熱対策が難しくなります。ただ、13BのNAだと少しパワー/トルクともに不足。その問題を解決するためのひとつの提案が3ローター化です」と佐藤基樹代表。
また、そのままエンジンを搭載すると1ローター分前方に出てしまい、重量配分が悪化する。それを嫌いプロペラシャフトの短縮、リンケージ特殊加工によりトランスミッションを後方に15mmずらし、バルクヘッドを手直しするなどで対処。さらにエンジン搭載位置を下げ、オリジナルのインマニをショート化するなど、コーナーリングマシンであるFD3Sの性能をスポイルしないどころか、引き上げるマシンメイクを施している。
長く20Bエンジンを楽しむためにあえて300ps以下にパワーを抑える
出力的には370psオーバーも狙えるが、現在は長く楽しむために300ps以下に抑えている。20Bエンジンは年々タマ数が減っており、壊してしまうと費用がかさむのがその理由。それでも軽量なFD3Sには十分だ。
その代わりといってはなんだが、パワーよりも気持ちいいフィールを追求するため、エキマニもマフラーも形状の最適化を目指して自社で製作。NAロータリーを楽しむための環境を整えている。
エアロパーツは長年のサーキット走行で得られたノウハウを取り入れたオリジナルのeffect。ロータリーエンジンには大切な冷却性とダウンフォースを両立するデザインは、FD3Sのスタイルをかなり攻撃的に変えてくれると好評だそうだ。
チューンドロータリーエンジンのコンプリート販売を計画
デモカーとともに注目したいのは、チューンドロータリーエンジンのコンプリート販売だ。OAM2023には開発中の試作エンジンが持ち込まれた。
「当社では長年、エンジンの加工を外注に依頼してきましたが、こちらの思いと仕上がりに乖離があったり、攻めた作業依頼でミスが起こった場合も費用を払わなくてはいけないなどメリットが見い出せなくなっていたのです。
そのため、自社で可能な限りエンジン加工ができる体制を整え、仕上がりを含めて目途が立ったとことと、これからも末永くロータリー車を楽しんでもらいたいという思いから、コンプリートエンジンを作ろうと考えました」
と佐藤代表。しかも、国内だけでなく、世界で販売を予定しているという。
仕様は新品のハウジングを使ったペリフェラルポートの13BのNAエンジン。RX-8の高圧縮ローターを採用し、燃焼室の加工やエキセントリックシャフトのラッピング、フロントハウジングの軽量化など細かく手を加えた。さらに、CAD上で強度解析を含めて弱点対策を施すなど、これまで構築してきた知識と技術を組み込んでいる。
パフォーマンス的には音量とのバランスを考えて、300ps/24kgmが目標。さらにエンジンだけでなく、低中速重視のロングタイプと高回転仕様のショートタイプの2種類のエキマニを用意している。オーナーの好みに選んでチョイスできるようにするなどの力の入れようだ。