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トヨタ「MR2」はスーパーカールックを安価に提供した日本が誇るミッドシップカーでした

ホイールベースは2320mmと現代では考えられないくらい小さい

ミッドシップカーの運転感覚を広く日本人に体験させた1台

日本車にも、ミッドシップスポーツカーが1984年に現われた。それがトヨタ「MR2」である。その衝撃は大きかった。MR2の車名は、ミッドシップ・ランナバウト・2シーターである。同車の魅力をあらためて振り返ってみよう。

ミッドシップ+リトラクタブルヘッドライトは当時の憧れだった

市販のミッドシップカーといえば、イタリアのフェラーリなど高性能スポーツカーの自動車メーカーが開発・販売するものだと誰もが思っていた時代だ。そこに、日本のトヨタが身近で手に入れやすい価格でのミッドシップスポーツカーを1984年に発売したのである。ちなみにホンダNSXが誕生するのは、1990年になってからである。

MR2の外観は明快で、リトラクタブル式ヘッドライトはマツダ「RX-7」に続く採用だが、当時の憧れの方式であり、単にミッドシップというだけでなく、欲しいもの満載のスポーツカーであった。

自然吸気のガソリンエンジンは、前年に発売された「AE86カローラレビン/スプリンタートレノ」に搭載されていた1.6LのDOHC4バルブであり、このエンジンは、「セリカ」や「TE27レビン/トレノ」に搭載されていた2T-Gの後継となる新時代の高性能エンジンであった。ほかに、1.5リッターエンジンの廉価車種もあった。そしてミッドシップカーの運転感覚を、広く日本人に体験させたのである。

MR2は日本が誇るべきミッドシップカー

ミッドシップカーは、前後重量配分が後輪寄りとなり、ハンドル操作に対し応答がやや遅れる感じを受けるかもしれない。FFはもとより、FRでさえ、客室の前にエンジンを搭載する場合は前輪の荷重が大きく、その分、ハンドル操作に対しタイヤの応答が早く伝わってくる。

しかしミッドシップでは前輪荷重が少ないため、応答遅れの印象をはじめは持つかもしれない。そこで余計にハンドルを切り過ぎると、スピンしかねないことにもなる。そこから、ミッドシップは運転が難しいといわれることになる。

だが、それはFFやFRの感覚のまま運転操作をするからであり、ミッドシップにはミッドシップの運転の仕方がある。後輪の荷重が多めだとはいえ、前輪と後輪の間にエンジンと人が乗るため、動き出したらその挙動は遅れの少ない、一体感のある動作になる。ハンドルを切り過ぎず、アクセル操作をより丁寧に行うことで、ミッドシップカーはより速くカーブを駆けぬけることができるのである。

ことに左右へのカーブの切り替えしが連続する場面では、車体の荷重移動を素早く収め、俊敏に抜けていくことができる。

挙動が過敏で難しいのではなく、ミッドシップの特性を知ったうえで、それに合わせた運転ができるかどうかなのだ。それさえ身に着ければ、よりクルマと一体感のある醍醐味を楽しめる。それを、身近な価格でわれわれに伝えたのがMR2なのである。日本が誇るべきミッドシップカーといっていいだろう。

MR2は、1989年に2代目へ引き継がれ、車体寸法はやや大きくなり、外観はより洗練された姿になった。そして1999年にMR-Sへ至り、ここでミッドシップオープンカーとなった。マツダが1989年にロードスターを発売したが、トヨタはミッドシップでオープンエアを楽しませようとしたのである。

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