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「カウンタックLP400」は1億円オーバー当たり前! 70年代スーパーカーの人気ぶりを振り返ります【スーパーカー列伝01】

「ペリスコピオ(Periscopio:潜望鏡)」と呼ばれるルーフ上の薄い後方確認用リアウインドウがLP400の特徴のひとつ

70年代中ごろに勃発した空前のスーパーカーブーム

1970年代中ごろ、子どもたちの周りにあるさまざまなモノがクルマ関連グッズと化した空前絶後の「スーパーカーブーム」は、池沢早人師さんによる漫画『サーキットの狼』をきっかけとして巻き起こりました。当時の子どもたちを熱狂させた名車の数々を振り返るとともに、「今もし買うならいくらなのか」、最近のオークション相場をチェックしてみましょう。

ブームの枢軸は「カウンタックVSフェラーリBB」

スーパーカーブームという一大ムーブメントの牽引役となったのは、なんといっても最高速度対決を繰り広げたフェラーリ「365GT4/BB」とランボルギーニ「カウンタックLP400」である。

150台ほどデリバリーされたといわれるカウンタックLP400。外装色は黄色や赤が定番というか日本で見る機会が多かったが、自動車専門誌やスーパーカーカードで目にすることができた白ボディ/赤内装仕様が妙にステキだったりして、ビックリするほどの異次元のカッコよさにドキドキしてしまったことをよく憶えている。

また、車高が低いクルマランキングでつねに1位だったこともあり、「107cmというカウンタックLP400の車高は、弟や妹の身長ぐらいなのね」と、身近なところで比較していた人も少なくないだろう。

最高速度300km/hのカタログデータにクラクラした

プロトタイプの「カウンタックLP500」が一般公開されたのは1971年のジュネーブ・ショーでのこと。1974年に登場した量産モデルのカウンタックLP400は、当初予定していた5Lユニットの導入をあきらめ、ランボルギーニ「ミウラ」に横置きで積まれていた排気量3929ccの水冷60度V型12気筒DOHCエンジンをミッドシップに縦置きで搭載した。

3.9L/V12エンジンの最高出力は375psに抑えられていたが、ランボルギーニから発表された最高速度は、よりパワフルなLP500と同じ300km/hのままだった。スーパーカーブーム全盛時、300km/h級の最高速度をアピールしていたのはカウンタックLP400とフェラーリ365GT4/BBだけで、最速のロードカーという称号を守らなければならなかったBBは、302km/hというトップスピードをカタログデータ上で強調。往時は「スーパーカーはスペックが命」といった風潮があり、子どもたちはLP400と365GT4/BBの間で勃発した最高速戦争の話で大いに盛り上がった。

全国各地のスーパーカーショーでカウンタックが花形に

筆者は1971年生まれでスーパーカーブーム後期世代(?)だが、一番最初に本物を見ることができたスーパーカーは、カウンタックLP400だった。家族でよく行っていた吉川百貨店(かつて東京都町田市にあった)の駐車場で開催された小さなスーパーカーショーにて披露されたのだ。会場に掲げられた横断幕に「夢の車 ランボルギーニ カウンタックLP400 特別展示会」と書かれていたことからも、往時の熱狂ぶりがうかがい知れる。

スーパーカーブーム全盛時は、全国各地にて大小さまざまなスーパーカーショーが開催されていたので、カウンタックLP400は生産台数こそ少ないが、本物を見られる機会が多かった。そして、かつて都内や横浜にあった有名なスーパーカー屋さんに行くと、入庫してきたばかりのカウンタックLP400を撮影することができたので、子どもたちはカメラを手に持ち、自転車や鉄道を駆使して先を争って店頭へと向かったものだ。幹線道路の歩道橋を利用し、お気に入りのスーパーカーの走行写真を撮る子どもたちも多かった。

ラジコンブームも相まって子どもたちの話題は尽きなかった

第1次スーパーカーブームのなか、ランボルギーニ ミウラの後継モデルであり、マルチェロ・ガンディーニがデザインしたウェッジシェイプ&スイングアップドア&リトラクタブルヘッドライトのカウンタックLP400がみんなのアイドルとなったわけである。

今でもドアが上に開くクルマを見ると「あっ、カウンタックだ!」と、迷うことなく言ってしまうオジサン&オバサンがいるが、以前、その種のオジサンにインタビューしてみたら「子どもの頃はクルマに興味が無かったけどカウンタックのことは知っていた。正直に告白するとスーパーカーはカウンタックしか知らなかった」と語ってくれた。キング・オブ・スーパーカーとは、そういう存在なのだ。

スーパーカーブームの頃はラジコンも流行っていたこともあり、筆者も仲のいい友人も限られた予算のなかで何を買おうか迷っていた。タミヤをチョイスするのが当時の子どもたちの定石だったので、「ランボルギーニ ブラック・カウンタック LP500S競技用スペシャル」が良いだの「タイレルP34シックスホイーラー」が良いだの「ポルシェ934ターボRSR」や「935ターボ」や「936ターボ」が良いだの、議論がヒートアップ。だが結局、筆者はどういうわけか「リジェJS9マトラ」を買ってしまった(友人は「フェラーリ312T3」をゲット)。実車の価格が驚くほど高騰してしまったこともあり、いま思うとブラック・カウンタックが正解であったことは間違いないだろう。

スーパーカーのレジェンドを手に入れるなら1億円クラスの軍資金を

気になる実車の近年の価格を、2021年11月にフランスのポール・リカール・サーキットで行われたRMサザビーズ「ギカス・コレクション(Guikas Collection)」オークションの出品車を参考にみてみよう。出品された1975年式カウンタックLP400ペリスコピオは、90万5000ユーロ(当時のレートで邦貨換算約1億1800万円)という堂々たるプライスで落札された。2006年~2007年にかけてエンジンのオーバーホールを含む大規模なメンテナンスとリペアを受けていて、新車時のマニュアルや書類、ツールキットまで完備した極上物件だ。

現在は価格が少し落ち着いてきたとはいえ、やはり1億円クラスの軍資金を用意する必要があるカウンタックLP400こそ、これからも永遠にスーパーカー界のレジェンドであり続けることは間違いないだろう。

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