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「環状族」スタイルを受け継ぐ2台の「シビック」「テンプルレーシング」が情熱を注ぐ超本気仕様を紹介します

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TEXT: 山崎真一(YAMAZAKI Shinichi)  PHOTO: 高原義卓

  • EFシビックのリア

  • タイムアタック仕様のEGシビック
  • 環状族スタイルのEFシビック
  • EFシビックのリア

今もなお関西で根強く愛されるワンダー/グランド/スポーツのシビック

かつて「大阪オートメッセ」(OAM)のチューニングカーゾーンと呼ばれる6B号館の風物詩といえば、ホンダ「シビック」だった。しかも、主力はワンダー/グランド/スポーツと呼ばれた3、4、5代目とその兄弟車であるバラード/サイバー「CR-X」で、その多くは徹底的に軽量化されたボディにロールケージを装着し、車高は極限までローダウン。なかにはレースカーを彷彿させるカラーリングが施された車両が会場内にずらりと並んでいた。そんな本気仕様のシビックを大阪オートメッセ2023に展示した「テンプルレーシング」のブースを紹介しよう。

大阪環状の走り屋たちになぜシビックが人気だったのか?

関西圏外の人なら「各ショップが製作したサーキット仕様を展示しているのだね」と思うかもしれないが、さにあらず。これらの車両は1980~1990年中盤まで、阪神高速1号線(通称環状線)のナイトシーンでイリーガルな大阪の走り屋文化として一世を風靡した「KANJO-ZOKU(環状族)」のイメージを模して製作されたものなのだ(漫画『なにわ友あれ』をご存じの方は理解できると思う)。

関東で言えば首都高速のルーレット族なのだが、大きく違うのがそのステージを走るマシンたち。首都高速は「GT-R」や「スープラ」、「RX-7」といった大排気量&ピュアスポーツが主流だったが、大阪環状は前述したシビックがダントツだった。

シビックが人気だった理由は、環状線は首都高速よりも速度レンジが低く、複合的な合流が多いため、速く走るためにはパワーよりも瞬発力。そして、何よりすり抜け(通称:あみだ走り)が必要不可欠だった。

現在は正統派「環状族」仕様だけでなくアレンジスタイルも人気

コンパクトサイズで軽量。そして、クラスイチのパフォーマンスを誇るVTECエンジン、ロングホイールベースによるバランスの良さからシビックが高く評価された。大排気量と対等に戦える下剋上的な部分も、関西人には響いたのかもしれない。関西エリアにホンダ系のショップが多いのは、環状族というカルチャーが盛り上がったからにほかならない。

チーム同士の抗争や警察の取り締まり強化により、1990年代後半には環状族も下火となり、当時を知る人が年を追うごとに少なくなってきたことから、大阪の走り屋文化の象徴であった環状族のスタイルを語り継いでいきたいという思い(もちろんイリーガルな走りを推奨しているわけではない)で、地元のイベントである大阪オートメッセに出展。多くのクルマ好きにアピールしているというわけだ。ここ数年はUSDMやJDMといったアメリカ発祥のスタイルと融合した新たな仕様も登場するなど、シビックカスタムは幅を広げながら、今なお関西で根強く進化し続けている。

環状族のなかでも少数精鋭と呼ばれた「テンプルレーシング」が当時仕様を製作

残念ながら、2023年の大阪オートメッセでシビックは少数派となってしまったが、環状族のなかでも少数精鋭と言われた名門「テンプルレーシング」は出展。今年も昭和から平成初期に大阪環状線を走っていた仕様を再現したEFシビックと、現在、日本でFF車としてトップクラスの速さを誇るタイムアタック仕様のEGシビックの2台を展示していた。

EFシビックは白黒のツートーン。じつは同社のスタッフが長く所有していた由緒正しきクルマで、新たなオーナーへ渡ったことを機に一新したそうだ。環状線で無茶な走りをするために作ったのではなく、今50~60代で当時走り屋の人たちが「懐かしい」と思ってもらえる本気の当時仕様がコンセプトである。

環状族スタイルのEFシビック

ベタベタに落とされた車高に、当時流行っていた無限ホイールをセット。室内はアンダーコートまで剥がした上に、ロールケージを組み込んでいる。レース仕様との違いはリアルーフエンドに装着した悪っ羽(ルーフ後方まで伸びた大型ウイング)。環状仕様には欠かせないマストなアイテムだ。

カラーリングのイメージについてたずねると、「当時グル―プAを走っていたPIAA号の反転カラーです。正規のPIAA号のレプリカは存在するので、オリジナルカラーとして仕立てました」とのこと。

現在のオーナーは32歳。当時を知らない世代ではあるが、シビックはEGとEFが各3台、さらにEK9「タイプR」に「S2000」、DC2「インテグラ」を所有するホンダマニアだ。「譲ってください、キレイに大切に保存します」と懇願され、その熱意に継承が許可されたそう。環状族の魂は次世代へと確実に受け継がれているようだ。

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