デイトナはまさかの雨でレースは短縮開催
NASCAR（ナスカー）の2023シーズンが伝統のデイトナで開幕。ナスカーはアメリカでもっとも人気のある自動車レースで、デイトナ・インターナショナル・スピードウェイでは、「カップ」、「Xfinity（エクスフィニティ）」、「CRAFTSMAN Truck（トラック）」という3大カテゴリーのレースが同時に開催された。エクスフィニティとトラックシリーズの開幕戦の様子をレポートしよう。
超接近戦が繰り広げられるシリーズ屈指の超高速コース
すでにカップは2月5日に開幕し、エクスフィニティとトラックはシーズンは今レースが開幕戦となった。ちなみにエクスフィニティの「Beef. It’s What’s For Dinner. 300」を制したのはかつて2019年から3年間HREに在籍、トラックシリーズに参戦し8勝を挙げたオースティン・ヒル選手である。
ナスカー界で唯一の日本人オーナーとして長年参戦を続けている服部茂章が代表の「Hattori Racing Enterprises（HRE）」は今シーズン体制を一新。# 16「LiUNA! Toyota Tundra TRD Pro」にHRE2年目となるタイラー・アンクラム選手を起用し、この経験の少ない若手ドライバーをサポートできる体制に変更し、トラックシリーズ開幕戦「NextEra Energy 250」に挑むこととなった。
開幕戦の舞台となったのは、フロリダ州デイトナ・ビーチにあるデイトナ・インターナショナル・スピードウェイ。全長2.5マイル（約4km）のトライ・オーバルコースで、最大31度という深いバンク角がありドラフティングを使った超接近戦が繰り広げられるシリーズ屈指の超高速コースである。
決勝前日に行われた練習走行では21番手、さらに決勝を前に行われた予選でも16号車のスピードが上がらず、27番手という厳しい結果となった。しかし、事前の練習走行ではトラフィック（集団走行内）でのハンドリングは確認していたことから、実際にレースが始まると、一気に追い上げを行うことができると確信をしていた。
最終ステージはトップ争いを繰り広げることに成功
そして午後にスタートした決勝レースでは素晴らしいスピードで追い上げを敢行。3ステージ制を取るレースでは、ステージ1では後方からのスタートということを考え、事前のイエローコーション中に給油を済ませ、ステージブレイク中（ステージ１とステージ2の間のイエローコーション下）をコースに留まる戦略を取った。
ステージ1を12位で終えた16号車は、ここで各車が給油に戻る中コースに留まり難なくトップに浮上。ステージ2はトップからスタートし、ステージ内の混戦を制してステージ2を優勝した。ステージポイントとプレイオフポイントを獲得し、続く最終ステージもトップ争いを繰り広げることに成功している。
しかし、たまたま前車のスピードが落ちて順位が下がってしまったタイミングで雨が降り出してしまい、レースはここで中断。その後も天候は回復せず、レースは21周を残し成立となり、残念ながらポジションを下げたタイミングでの7位が最終結果となってしまった。
レース後テイラー選手は次のようにコメントしている。
「今夜のタンドラは、とても素晴らしい出来でした。 レースでは2度のリードを奪うことができ、素晴らしいレースが出来ました。後方からのスタートでしたが、クルーチーフのドグ・ランドルフが、僕がトップに立つための素晴らしい戦略を行ってくれましたので、レース中は常にトップ5の中に留まることができました。 雨さえ降らなければ勝てると思っていたのでとても残念です。自分たちの速さを見せることができたこのレースに本当に勝ちたかったです。次のレースでこの屈辱を果たし優勝したいです」
若干残念な結果となったものの、昨年は一度もステージ優勝ができていなかったことを思うとすばらしい2023シーズン開幕戦となったHRE。続く第2戦はネバダ州ラスベガスで行われる「Victoria’s Voice Foundation 200（ラスベガス・モーター・スピードウェイ／134周）」となる。2023年3月3日（金）午後9時（アメリカ東部時間）にスタートしたレース結果は、追ってレポートしよう。