純正に拘るか、もしくは社外品を選ぶべきか?
第2世代「スカイラインGT-R(R32/R33/R34型)」のRB26DETT、「日産GT-R(R35型)」のVR38DETTともに、そのパワーの要となっているのが“タービン”。ブーストアップや社外タービンへの交換によって得られる伸びしろも、GT-Rの魅力のひとつと言えるだろう。ただしエンジン本体よりもライフは短く、長く乗るならいずれ交換も考えなくてはならない。現状のタービン事情を考える。
(初出:GT-R Magazine165号)
R34純正タービンの価格高騰でアフター品を選ぶのが現実的に
RB26を搭載する第2世代はR32~R34までの13年間、VR38の現行R35は2007年12月から現在までで約15年。いずれも長いライフを経てきたエンジンだ。RB26は型式ごとに採用されるタービンが変更され、R35もMY20以降でターボにマイナーチェンジが施されている。ここでは絶版となっている第2世代GT-Rのターボについて考えてみたい。
R32は標準のSTDと限定車のNISMO用、R33とR34は標準のSTDおよびN1ベース用と、それぞれの型式に2種類ずつ純正ターボが存在している。純正のピストン同様、中にはすでに製造廃止になっている純正ターボもある。R32 NISMO用とR33 N1用は残念ながらメーカーからは部品として供給されていない。
R34からは軸受けにボールベアリングを採用したこともあり、R32/R33のRB26に流用することで低速域のピックアップ向上が期待でき、ECUのリセッティングを施せばR32/R33の純正タービンよりも大きなパワーが手に入る。R34のN1タービンも同様に、R32やR33、R34(N1ベースとニュルを除く)に流用されるケースも多く、“メーカー純正チューニングタービン”的な存在として人気を博してきた。
NISMOやHKSには純正R34 N1用とほぼ同じサイズのタービンがある
だがしかし、純正部品の価格高騰により、本稿執筆時点(2022年5月)でR34のSTD用が17万4000円、同N1用が28万2000円という定価設定に。ちなみに、これは税別(日産純正部品は税別表記になっている)1基分の価格。つまり、ツインターボのRB26の場合は2基必要になるので、部品代だけでSTD用が38万2800円、N1用が62万400円という恐ろしい値段になってしまう。
部品として供給があるだけ幸せという考え方もできなくはないが、こうなってくるともはや社外タービンへの交換が現実的なチョイスになるだろう。R34の純正N1タービン相当で考えると、『HKS』のGTIII-SSと『NISMO』のR3ターボがいずれも38万5000円で、純正のN1よりも大幅に安い。
前者は『MHI』製のセンターカートリッジでメタルフローティング式、後者は純正同様のボールベアリング式で、キットの構成内容なども異なるが、風量的にはほぼ近い。それぞれの特性に合わせてECUなどを最適化することでより性能を発揮できるのだが、純正N1ターボの置き換えとして装着するのもありだろう。