三菱500やランサーセレステなどマニア垂涎のモデルを所有
さて、フィアット以外にも数多い片山さんの愛車遍歴だが、やはりオーナーズクラブ会長を務める「三菱500」は外せない。このクルマは三菱自動車として独立する前の新三菱重工時代、1960年から1962年まで生産された2ドアセダンで、三菱として初めてのオリジナルモデル。全長3140~60mm×全幅1390mm×全高1380mmで、車重は490kg。排気量493ccの直列2気筒OHVエンジン(21ps)をリアに搭載して後輪を駆動するRR方式を採用する。
じつは片山さんは2台の三菱500を稼動状態で所有していて、そのうち1台は1961年8月に加わった後期型のスーパーデラックスで排気量を594ccに拡大し、25psにパワーアップも果たしている。その後期型は現在、愛知県岡崎市の三菱オートギャラリーに展示されているので、片山さんの手元にあるのは前期型だ。
普段の足は「ランサーセレステ」だが、この前期型もコンディションは良好で、折を見て走らせている。ただ風雨にさらされないように、隣接するジーンズ資料館に屋内保管されているので、見学したいときは事前に予約するのがベターだ。ちなみにフィアット509や隣のアルファ ロメオ版ジープ「1900M」はガレージに保管されているので、お店に来たついでに片山さんに「見学させてください!」と声をかければOKとのこと。
ジーンズの資料館を満喫したあとはお勧めのホワイトカレーで腹ごしらえ
さて、ワーゲンは店内に入っても博物館並みの魅力にあふれている。新旧さまざまな場面が収められた写真パネル、お宝クラスの逸品もずらりと並ぶミニカーといった、まさに半世紀を超えるお店の歴史にふさわしいグッズのコレクションを見ていると、時間を忘れてしまうほど。三菱500オーナーズクラブが節目の年に出してきた会報やコミックスなど、いわゆるライブラリーも充実している。
こうしたクルマ関連に加えて最近はジーンズ関係の展示やグッズ販売にも注力。隣接の資料館には貴重なミシンなどもあるが、ビッグジョンが1965年に初めての国内縫製品として販売したジーンズ第1号モデル「CANTON」は、額に収めて店内に展示されている。
最後に本業と言うべきカフェレストランも紹介しよう。朝は8時からオープンしていて、500円のトーストモーニングはハムエッグにサラダ、さらにスープとコーヒーが付くという超バーゲンプライス。ランチタイムでの筆者イチ推しは「ホワイトカレー」だ。さらに「イベリコ豚の焼きめし」や「サービスステーキ」なども人気のメニューだそう。なお週に2回ほど、国産KAWAI製の最高級ピアノやギターなどの演奏が聴けるミニライブも開催されているとのこと。
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フィアットや三菱車のファンはもちろん、ジーンズに興味のある方はぜひ一度、お立ち寄りいただきたいと思う。「できれば、お腹を空かせてお越しください」とは、75歳とは思えないお元気な片山さんからのメッセージだ。
■カフェレストラン「ワーゲン」
所在地:岡山県倉敷市児島小川4-3-8
TEL:086-472-1480
営業時間:8時〜16時(夜の営業は予約制)
定休日:火曜日
1969年創業、およそ60席