現代のクルマでもエンジンフィールにトキメキを
現代のクルマをチューニングするうえで要となるメニューのひとつがコンピューター(ECU)。もっさりとしたフィーリングのエンジンもECUに手を入れるだけでキャラクターが一変することもあります。今回はマツダ車を得意とする「DO(ドゥー)エンジニアリング」がコンピューターを手がけた3台のマシンに、NB「ロードスター」乗りの筆者が富士スピードウェイショートコースで試乗してみました。
マツダ車を得意とするDOエンジニアリングのコンピューターチューニング
エンジンコンピューター(ECU)に手を入れるとなると、故障やエンジンの耐久性に関して心配する人もいるかもしれませんが、DOエンジニアリングのコンピューターチューニングはそのような点に配慮しています。やみくもにパワーを求めた仕様ではなく、低中速トルクを重視した仕様で、エンジンの耐久性を考えてあえて出力は抑えているのが特徴。また、同じアクセル開度ならばノーマルよりも燃費がいい仕様となっているそうです。
DOエンジニアリングのECUチューニングは基本的にType-1~3の3種類が用意されていて、Type-1がリミッターカット、Type-2が富士チャンピオンレース参加車専用プログラム、Type-3が低中速トルクとフィーリングを重視した仕様となっています。今回はすべてType-3のチューニング車両を試乗しました。
デミオディーゼル:トルクフルでターボらしさが際立つ
まずはディーゼルの「デミオ」から試乗しました。もともと低回転からのトルクが太いディーゼルのデミオですが、より低回転域でのトルクフルな印象が増えていて驚かされました。とくにタービンが回り始める2000rpmあたりからのトルクがグッと増す感触は、扱いづらさがない範囲でターボエンジンらしさが際立っていて、「キタキタッ! タービン回ってきた!」と思わせる楽しさがあります。
また、ECUチューニングを施すことで上の回転域も気持ちよくなった印象です。高回転域がより伸びやかになっており、ディーゼルでもスポーツ走行して楽しいフィーリングに仕上がっています。軽量な車体にトルクフルなディーゼルターボ、このパッケージをよりスポーティに仕立てるコンピューターチューニングでかなり走りが楽しい1台と言えます。
デミオガソリン:高回転でのひとノビが気持ちいい
ガソリンのデミオはどうかというと、こちらも低速トルクが上がっていて、低回転域からパンチを感じることができ、今回乗ったなかでも一番回して楽しいと感じるエンジンでした。ECUチューニングによりレブリミットは7500rpmまで引き上げられていて、キッチリ高回転域まで吹き上がります。とくに5000rpmからのひとノビは格別です。
低回転域からのトルクもあって高回転まで使えるので、ギヤセレクトでの迷いが少ないのも嬉しいポイント。雨の富士ショートコースではインフィールドは2速固定で回り切ることができました。下からエンジンが付いてきて、上までキッチリ回せて楽しいデミオのECUチューニング仕様は「これぞホットハッチだよね」と思わせてくれる乗り味です。
ロードスター:レスポンスが良くなってキビキビ走れる
続いて試乗したのはND型「ロードスター」です。ロードスターでは低回転域でECUチューニングの恩恵をより強く感じることができました。ノーマルのロードスターは低回転域でトルクが細く感じてしまいますが、程よくトルク感が大きくなっていて、街乗りでも乗りやすくなっていそうな印象です。2速を使う上りのヘアピンでも、クーリング走行中は4速で楽々走行できます。
そして驚かされたのはスロットルレスポンス。ノーマルではもっさりとした印象でしたが、こちらではスロットルにエンジンがしっかりと付いてくる感触です。スロットルマップには手を入れていないそうですが、燃圧を上げて燃調や点火の設定を変更しているのが、スロットルレスポンスが良くなったと感じる理由になっているそうです。全体的にエンジンの吹き上がりが良くなり、上まで気持ちよく回るスポーツエンジンらしい性格になった印象でした。
愛車の封印を解放してさらに楽しく走ることができる
「現代のエンジンはフィーリングが楽しくない」と聞くことが増えましたが、今回の試乗ではECUチューニングをしてエンジンの封印を解いてあげれば、回して楽しいフィーリングを現代のクルマで取り戻すことができると実感。もちろん、今回DOエンジニアリングがコンセプトとしていた低中回転域でのトルクフルさもしっかりと味わえましたし、コンピューターチューニングの幅広さと凄さを改めて実感することができた試乗でした。
DOエンジニアリングのECUチューニングはエンジンのフィーリングにもう少しときめきが欲しい、街乗りでは快適に、サーキットでは楽しく乗りたい、そんな人にオススメのメニューと言えます。