走り屋系VIPスタイルのアリスト
今回紹介する見るからに鋭い走りをイメージさせるアリストの仕上げ方は、独自のドレスアップ+チューニングを融合させた走り屋系VIPスタイルだった。パワフルなパワーユニットを持つアリストならではのアプローチとして、オーナーの“駄無161”さんが目指したのは、見せる喜びと走る楽しさを追求したカスタムカーである。
ドリフトを追究していった結果のカスタム
このクルマを紹介するうえで、キーワードになるのが、そのスタイルから連想させる激しさや過激さという言葉になるだろう。装着しているパーツも、バトルワークスやブラックマジシャン、リドックスやハイパワーMAXといった勇ましいブランド名を使ったアイテムばかり。スペックを見ただけで、クルマ好きであればちょっとそそられる、なんだか凄そうな1台である。
チューニングをこよなく愛する“駄無161”さんは、見た目が凄いクルマを作りたかったわけでなく、自分のスタイルに合った1台を目指して愛車にカスタムを施していったという。
走ることが大好きで、特にドリフトをして楽しむ“駄無161”さんは、オートマしか存在しない161アリストをドリフト仕様にするべくマニュアル化。装着させたトランスミッションもクロスギアを組み込んだ、JZ系ドリフトマシン用トランスミッションとして有名なテクノ製R154トランスミッションを使って載せ換えいるのもポイントだ。
600馬力のエンジンにチューニング
また、強力なパワーユニットである2JZエンジンは、オーバーサイズの鍛造ピストンを組み込んだ3.1L仕様のフルチューンで、タービンはT78-33Dに交換、カムはノーマル、ポート加工も施していないが、最高出力は650psをマークする。
アリストに関する仕上げは、このエンジン仕様に合わせて走ることを意識して作られた。具体的には、タービン交換に伴って、大容量の前置きインタークーラーやオイルクーラーを装着。とうぜんフロントバンパーを加工しなければマウントできないので、バンパーはFRP製に交換。普通には収めたくなかったので、ランボルギーニ「アヴェンタドール」のフロントマスクを意識し、ダクトを大きく配置し、プレスラインもエッジを立たせる工夫を施し作り込んだ。
また、ヘッドライトはエアクリーナーにフレッシュエアーを送り込めるように穴あけダクト加工を施し、ボンネットは発熱量が高くなるエンジンの熱気をスムーズに逃がすために、センターダクト付きのエアロボンネットに交換している。
本気仕様とわかるコクピット
最初に説明した勇ましいブランド名をパーツをここで紹介しよう。主に外装に装着されているパーツで、「バトルワークス」がフロントに取り付けたオーバーフェンダー、「ブラックマジシャン」はリアのオーバーフェンダーで、共にカーボンラッピングによってレーシーな処理が施されている。また、「リドックス」はリアウイング、「ハイパワーMAX」はHKS製の車高調整式サスペンションキットであった。
真っ黒のボディとは対照的に内装はオールレッドで統一。シートだけでなく、ダッシュボード、ドア内張、内張カーペット、各ピラーに至るすべての部品をレッド仕様に張替え。ルーフもレッドのアルカンターラ仕様になっていた。
また、印象的なのがアルミビレッド削り出しのシフトノブにドリフトマシン定番のスピンターンノブ+延長ロングアームの組み合わせだ。これを見れば、このクルマで“駄無161”さんがドリフトを楽しんでいる事がよくわかる。
ハイパワー650ps仕様のアリストの足元を支えるのは、タイヤはフロント255/35-18、リア295/30-18のトーヨー・プロクセスR888だが、それとセットで組む鍛造ホイールがちょっと珍しかった。このホイールの名はSKILLフォージドというモデルで、生産国はロシアだ。US鍛造ホイールはよく聞くがRU鍛造ホイールがあることをはじめて知った。
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外装も内装もエンジンもフルチューンで戦闘力高めに仕上がったアリスト。そこに置いてあるだけで特別な存在感を放ち、まさに大注目の1台。今回はその豪快な走りを見ることが出来なかったが、2JZフルチューンエンジン650psをフルパワーで繰り出すドリフトは圧巻に違いない。そして、そんなハイパワーのクルマを自在に操る“駄無161”さんもただ者でないといえるだろう。