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日産「フェアレディZ」の走りの素質を氷上でチェック! VDCの制御はより安定志向に仕上げられていました

日産「フェアレディZ」の走りの素質を氷上でチェック! VDCの制御はより安定志向に仕上げられていました

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TEXT: 斎藤慎輔(SAITO Shinsuke)  PHOTO: 日産自動車/AMW編集部

VDCオフでも機械式LSDでどうにか加速できる

そこで、次の周回はVDCをオフにしてみると、それこそ発進から洗礼を受けることになる。1速か2速のどちらで発進させるか迷うところだが、ここはVDC作動時との違いを知るために1速からとした。ほぼアイドリング回転のままにクラッチを優しくつないで最小限の空転で動き出すことはできても、そこからの加速は、わずかなアクセルの踏み込みでも後輪が激しい空転を生じることになる。

それでも、新型ZはバージョンSとバージョンSTには機械式LSDが備わるので、リアを左右にわずかに振りつつも、クルマを前に押し出していく。発進直後には即座に2速へ、それでも空転は続くので早めに3速へ。ここでようやく、効率として理想とされるスリップ率30%以下くらいに、なんとか抑えられたかなと感じながらの加速が可能になるのだった。

ここまでくるとVDCオンの際を凌ぐと思える加速力を得ることができる。左右に振られそうになる姿勢をステアリングのすばやい修正で抑え込みながら、最初のコーナーへに向けて、なるべく雪が少しでもある路面に内輪を乗せるようにしながら、かなり手前からブレーキングを開始する。

ほんのわずかにフロントに荷重を残しつつ、ステアリングを早めのタイミングでゆっくりと切り出していく。操舵スピードが無闇に速ければ、前輪がコーナリングパワーを得られる切り角をすぐに超えてしまい、タイヤが向きを変えてもクルマの向きを変えるグリップが得られないことになってしまうからだ。

コーナリングはジワジワ前進させるのもひと苦労

こうしてノーズをインに向けたら、旋回中はわずかなオーバーステア姿勢を保ちたいところ。だが、柔軟性に長けたツインターボエンジンとはいえ、自然吸気エンジンほどにはトルクを穏やかに立ち上げることが難しく、今回の氷盤に近い路面では、気を抜くとイッキにリアが大きく流れるてしまうことになりがちだ。姿勢を思ったように一定に保つのは思っていた以上に難しい。

もう少しトラクションが得られるグリップを保てる路面状況なら、ここからアクセルワークで適度なドリフトアングルを保っていくことも可能なのだが、どうしてもエンジントルクが過剰気味となりがちで、リアが一瞬にして滑っていき、無闇に深いドリフトアングルに陥りやすい。

スピンにまで至らなくても、こうなると、アクセルを少し戻して姿勢が戻ってくるのを待つしかない。アクセルを踏む右足先に神経を注ぎながらも、好ましいドリフトアングルを維持しつつジワジワと前に進めていくことの難しさを知るに、VDCが早期に作動介入させていることの意味を、あらためて悟らされることになるのだった。

先代Zゆずりのブリッピング機構がありがたい

それでも機械式LSDがなんとかトラクションを稼ぎ出してくれるので、左コーナーから右コーナなど反転する際に、リズムがうまく整えば振り返しの慣性をうまく使いながら向きを変えていくことはできるので、それこそスノーダンスよろしく駆け抜けていく(それでも華麗に舞うほどに速度は上がっていないが)ことは可能だった。

こうしたなかではとくに、先代とともにZのMTが素晴らしいのが、ダウンシフト時に自動でブリッピングをして、エンジン側とトランスミッション側の回転数をピタリと会わせてくれるシンクロレブコントロールが備わること。おかげでとくに滑りやすい路面で起こりやすい駆動輪ロックによる姿勢の乱れを防いでくれるので、ダウンシフトを構える必要がないのは本当に助かる。

ちなみに、この制御は先代フェアレディZのMTが初めて採用したもので、後にポルシェをはじめ、多くのスポーツカーが採用することになった優れものである。

* * *

結局、e-4ORCEなどに比べてしまうと、どうやっても速くは走れないのだが、これはこれで振り回しながら楽しめませてもらえたし、さらには今更ながらドライビングの鍛錬にもなる、というものだった。

FRは、とくにドライ路面では爽快なハンドリングを提供し、クルマを高度に操る喜びを与えてくれる一方で、滑りやすい路面では途端にドライビングにシビアさが加わる。それでも新型フェアレディZは、大排気量ターボエンジン搭載のFR車としては、さらにホイールベースの短さを考えると乗りにくい方ではないし、そのうえで必要な制御をきっちりしていることを確認できたのは有意義だった。

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