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「来る者は厳選し、去る者は追わず」山遊びで最も大切なのは人間関係でした【おとなの山遊びVol.8】

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TEXT: 佐藤 圭(SATO Kei)  PHOTO: 佐藤 圭

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山遊びではともに過ごす仲間選びも大事

山遊びに限らずどんな趣味でも仕事であっても、長続きするかどうかは一緒に活動する人次第。Vol.7では「土地を選ぶ際に注意すべきポイント」を書いたが、もっと重要なのは「仲間の選び方」だと自分は考えている。安全だったはずのコミュニティが内部の人間によって崩壊、というゾンビ映画のようなテンプレートは実際に起こり得るのだ。

贅沢な山遊びだからこそ理解ある人と楽しみたい

Vol.1にも記したが、筆者の身に起こったことをカンタンに。長く放置されていた共同所有のログハウスと土地を再生させるグループに誘われ、お金や手間はかかれど楽しく作業し1年がかりでキレイにできたと思いきや、土地の名義人が大量のゴミを投棄して全員がやる気を喪失し空中分解してしまった。

当事者には処分するようクレームを入れたらしいが、片付くどころかゴミは日増しに増えていくいっぽう。時間もお金も使ったとはいえ許せる範囲だったし、新参者で年齢もイチバン下の筆者には主導権がない。そのタイミングで運よく現在の場所に巡り合うことができ、土地のオーナーには使い方から人選まで一任してもらった。

ごみ

以前の失敗で学んだのが「連れていく人は慎重に選ぶ」だ。元が荒れ放題の雑木林なので開拓には資金、そしてマンパワーもあればあるほどいい。ただし価値観やその遊びに対する情熱は人によってバラバラであり、モラルに欠けた人がひとりでもいればグループが崩壊しかねない。いま一緒に活動するのは10年くらいの付き合いがあり、趣味嗜好も気心も十分すぎるほど知っているひとりだけ。

ゲストを招き入れる際も慎重になりたい

自然に囲まれたパラダイスを誰かと共有したい気持ちは分かるが、上で書いたとおり開拓と維持には結構なお金や時間がかかる。無料のキャンプ場だなんて思われるのは冗談ではないし、来るのが数カ月に一度なんてペースでは話にならない。ある程度マメに通えて当たり前のマナーやモラルがあり、作業そのものを楽しめる人を探すのは意外と大変だが、急いては事を仕損じるというコトワザがあるように、頭数よりも人柄を優先するのが失敗しないコツだと思う。

もっと言えば場所を教える人すら選んだほうがいい。コレも最初の土地で実際にあった話。あるとき7~8名のグループがBBQをしており、ゴミを持ち込んだ名義人に場所を教えてもらったという。それ自体に問題はないものの次に行ったら大量の酒瓶が捨ててあり、しかも全員がバイクで泊まる用意があるようには見えなかった。このようなリスクを可能な限り減らすため、隠れ家は隠れ家のまま大切にするべきだろう。

素敵な環境を維持していこうと思ってもらえることが大事

なお作業に関してはスキルよりやる気が大切。キレイさを維持するには草刈りなど誰でもやれることが大半で、全員がチェーンソーを使えたり小屋を建てられる必要はない。ノウハウはインターネットでいくらでも調べることができ、手に余ると判断すればプロの手を借りればいいだけ。すべてをDIYで作り上げるのがコダワリなら別として、失敗すれば時間もお金もムダとなり、ケガの可能性もある。

もうひとつの問題は仲間が途中で飽きてしまったり、経済的な事情で活動を続けるのが難しくなったときだ。人手が減るのは色々な意味でキツいかもしれないが、無理に引き留めてもお互いの仲がギクシャクするだけ。筆者の人生訓は「来る者は厳選し、去る者は追わず」だ。誰も彼も受け入れれば一時は楽かもしれないが、必ずどこかにストレスがかかって破綻を招く。せっかく手に入れた隠れ家を崩壊させないためにも、一緒に遊ぶ仲間を募る際は慎重に慎重を期したい。

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  • 佐藤 圭(SATO Kei)
  • 佐藤 圭(SATO Kei)
  • 1974年生まれ。学生時代は自動車部でクルマ遊びにハマりすぎて留年し、卒業後はチューニング誌の編集部に潜り込む。2005年からフリーランスとなり原稿執筆と写真撮影を柱にしつつ、レース参戦の経験を活かしサーキットのイベント運営も手がける。ライフワークはアメリカの国立公園とルート66の旅、エアショー巡りで1年のうち1~2ヶ月は現地に滞在。国内では森の奥にタイニーハウスを建て、オフグリッドな暮らしを満喫している。
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