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「冒険に必要なもの」とは? 「オリンピック国立公園」での燃え尽き症候群を救ってくれた一杯のワインとスープ──米国放浪バンライフ:Vol.24

「冒険に必要なもの」とは? 「オリンピック国立公園」での燃え尽き症候群を救ってくれた一杯のワインとスープ──米国放浪バンライフ:Vol.24

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TEXT: 牧野森太郎(MAKINO Shintaro)  PHOTO: 牧野森太郎

6月25日 ポート・エンジェルスで軽く燃え尽き気分

ソルダック・ホットスプリングスの滞在を終え、ポート・エンジェルスの安モーテルに投宿した。ポート・エンジェルスはオリンピック国立公園の玄関口に当たる町で、2、3日前まではここからハリケーン・リッジ・キャンプ場を目指すつもりだった。

しかし、次の目的地を目指す心の炎が小さくなっていた。オリンピック半島を時計回りに回り、東に進み始めると森の特異性も薄れてきた。ソルダックの森は温帯雨林と普通の森の中間になっていた。ハリケーン・リッジに行っても、クイノールト湖やカラロックで味わった感動は期待できなかった。

オリンピック国立公園の後は、ポート・タウンゼントからフェリーで湾を渡り、ワシントン州北部のノースカスケード国立公園を訪ねる計画があった。観光局のマーシャさんからフェリーの予約について、丁寧な情報もいただいていた。

ところが、その計画に対しても気持ちが盛り上がらなくなってしまった。最大の目標が終わり、冒険の炎が消えかかっている感じなのだ。おかしな感想だが、アドベンチャーを続けていくには、モチベーションという燃料が必要なのだと思い知らされた。

地元の魚貝をつかった「ガンボ」の美味でひと段落

その晩は、久しぶりに外食に出た。オリンピック国立公園の滞在を無事に終えた、ひとりきりのお祝いだ。食事の前に町を散歩すると、ほどよく寂れた感じに好感を持った。これまでオリンポス山の周囲を旅行しながらピークを見ることがなかったが、最後に町から眺望できたのもよかった。

小さな買い物をした店でレストラン情報を聞くと、「フック&ライン」というシーフードレストランを推薦してくれた。名前もいい。この店が正解で、注文したサーモン・ステーキとクラフトビールはイメージどおりの味だった。

そして、ふともう一度メニューを見直すとガンボがある。ガンボはニューオリンズのザリガニとコメ入りのスープだ。なぜ、ここに? と思い、説明を読むとノースウエスト・スタイルとあり、このあたりで取れる貝やハリバット(カレイの仲間の大型魚)を使っているという。

地元産のワインと一緒に食べるガンボは抜群においしく、涙がにじんだ。山にこもり続けた日々の思い出が、胸の奥にずしりと沈んでいった。

■「米国放浪バンライフ」連載記事一覧はこちら

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  • 牧野森太郎(MAKINO Shintaro)
  • 牧野森太郎(MAKINO Shintaro)
  • アウトドア誌、ライフスタイル誌などの編集長を経験。2001年にアメリカでキャンピングカーを購入して以来、国立公園を訪ねることをライフワークとする。著書に『アメリカ国立公園 絶景・大自然の旅』『自分自身を生きるには 森の聖人ソローとミューアの言葉』(ともに産業編集センター)がある。カリフォルニア州シェラネバダ山脈のジョン・ミューア・トレイルを計30日かけて踏破したレポートがデルタ航空機内誌「sky」に掲載され、カリフォルニア観光局のメディア・アンバサダー最優秀賞を受賞。
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