50年以上の歴史を持つ地元・大阪のサスペンションメーカー
大阪で50年以上の歴史を誇る名門サスペンションメーカー「RS★R」。初の大阪オートメッセ(OAM)出展となった2023年のブースでは、織戸 学選手のドライブでD1グランプリ(以下D1)を駆け抜けた懐かしのJZA80「スープラ」が出迎えてくれた。
D1で勝つためにあらゆる技を投入した
当時、織戸選手はSUPER GTのGT500クラスに参戦中。過去にドリフトチャンピオンに輝いていたとはいえ、国産トップカテゴリーに参戦する現役ドライバーがドリフト競技にチャレンジするというトピックスはレース業界、チューニング業界ともにかなり話題となった。
そのチャレンジをバックアップしたのが、織戸選手がレースを始めたころから応援を続けてきた「RS★R」。当時はすでにD1でS15「シルビア」を走らせていたが、その挑戦表明に「好きな体制でやっていい」と完全サポートを約束したそうだ。
そして、織戸選手がマシンとして選んだのが当時のD1で初登場となるJZA80スープラ。パッケージ面で不利と言われていたが、ボディメイクをレース界の名門であり、GT500でスープラを走らせていた土屋エンジニアリングに依頼。リアハッチやドアなどもGT500マシンパーツを流用するなど、勝つための本気マシンメイクを施していた。
スープラを筆頭にS15シルビアや初代86のドリフトマシンを動態保存
初年度の最高位は2位。上々のスタートであったが、その年の最終戦終了後に不慮の事故で廃車となってしまう。OAM2023に展示されたのは1号機のパーツを流用し、あらたに製作した2号機。このマシンで織戸選手は2010~2011年のD1を戦い、念願の初優勝も達成。2015年にはD1引退を飾った織戸選手にとっても、RS★Rにとっても特別なマシンだ。
「現在当社にはJZA80スープラ、S15シルビアのほかに2019年までD1やフォーミュラドリフトなどでも活躍した初代86の3台のドリフトマシンを動態保存しています。今回のOAMに『何を見せるか』と考えたとき、クルマ好きが当社をイメージしやすいマシンがいいのではないか、とスープラを選びました。もちろん、今のネオヒストリックカー人気もひとつの理由ですし、ほかのブースでは展示されないでしょうから、注目が集まるかな、と思ったのです」というのが展示に至った理由だとか。
織戸選手以外にも数多くのプロドリフトドライバーがドライブ
ちなみにスープラは2012年以降、日本を飛び出してフォーミュラドリフトASIAにも参戦。今や押しも押されもせぬフォーミュラドリフトUSAのトップドライバーであるケン・グシ選手、フレデリック・オズボー選手らがドライブ。シリーズを戦っている。
現在のドリフトマシンはエンジンスワップやラジエターのリア置きが定番となり、室内のスイッチ類もデジタル化が進んでいる。それらと比べるとひと世代前の仕様のためトップコンテンダーとして戦うのは難しいが、RS★Rの歴史を語る上で欠かせないクルマなのは間違いない。