リバティーウォークのFDJ仕様も手がける奈良のスーパーファクトリー
創業は1968年、すでに50年以上の歴史がある、奈良の名門トータルカープロデュースショップ「ナカムラレーシングファクトリー」(以下NRF)。とくにロータリーエンジン(RE)を得意としており、過去にはスーパー耐久レースを戦った「RX-7」のエンジン製作やサポートを手がけたことも。2022年はFDJ(フォーミュラ・ドリフト・ジャパン)に参戦したリバティーウォークチームのマシン、R35GT-R×4ローターツインターボのメンテナンスを担当するなど、RE界では一目置かれた存在だ。
ベースはスーパー耐久レースなどに参戦していた世界初のレーシングRX-8
「大阪オートメッセ(OAM)2023」に持ち込んだドンガラ+αのマツダ「RX-8」は、2024年シーズンに向けて製作を開始したタイムアタック用のマシン。マットブラックの塗装はスーパーGTマシンのカーボンモノコックをイメージしたもので、「これから作りますよ」という意味を込めている。
ベースとなっているのは、2003年に世界で初めてのRX-8レーシングとして同社で製作したマシンで、スーパー耐久レースやインターナショナルポッカ1000km耐久レース(現・インターナショナルSUZUKA 1000kmレース)などに参戦していた車両。レース活動は2年程度で、それ以降はほぼ使われていなかったため、コンディションは悪くない。
製作にあたり、あらためてドンガラにしてカーべキューにセット。車体を回して各部を見直し、必要な部分は現代流にアップデートした。ボディは現段階では手を加えていないが、イベント終了後はワイドボディ化に着手する予定。リアに装着した1900mm幅のスワンネック式GTウイングは、車幅の拡大を見越して製作したものだ。
タイムアタック車両にRX-7でなくRX-8を選んだ理由とは?
今回の出展にあたって、中村旬代表は次のように説明してくれた。
「作っていく過程を見てほしい思いで、今回あえて各部が見えるように展示しました。本物のレース車両を間近で見る機会はそうそうないでしょうから、隅々までしっかりと作り込んでいるところを感じてもらえれば。また、アンダーフロアやボディ内部はマジョーラカラーで塗装し、オリジナルパーツ『Tifaria(ティファーリア)』も組み込むなど、『NRFはこんなことができるよ』というディスプレイでもあります」
RX-7ではなくRX-8を選んだのは最後のRE搭載車であり、コーナリング性能だけ見れば歴代随一。やり方次第では高い戦闘力を得られるのではないかという判断から。RX-7に対する重量増も4ローターエンジン搭載で解決できると踏んでいる。もちろん、自らの手で作った思い出のあるマシンで再挑戦、もうひと花咲かせたい思いも強いだろう。