旧車に現代のテクノロジーをプラスする
1980~1990年代を中心とした、プラグコード方式のクルマの点火系をダイレクトイグニッション化するキットを手がける「T.M. WORKS」。ノスタルジック2デイズの会場では、実際にキットを装着したトヨタ「70スープラ」と日産「DR30スカイライン」を展示していました。旧車をダイレクトイグニッション化するメリットはどこにあるのでしょうか?
同一車種でも仕様違いに合わせて細かく開発
AE86「カローラレビン/スプリンタートレノ」などを中心とした4A-G搭載車両からダイレクトイグニッションコイルキットをスタートさせたT.M. WORKS。そのアイテムの名前は「ハイパフォーマンスコイルダイレクトキット」です。
現在はラインアップを拡大し、ホンダ「EK9シビックタイプR」などのB型系エンジンや、マツダ「ロードスター」のBP・B6系エンジンなど、定番車種から対応車種を増やしています。年式によってセンサーの違いなどがあるため、ユーザーの協力のもとテストを行い、同一車種でも細かな仕様違いに合わせて適合する製品を開発しているそうです。
今回展示されていた70スープラは、2.0Lターボエンジン1G-GTEUを搭載した車両。この車両でテストを重ね、1G用のハイパフォーマンスコイルダイレクトキットを完成させ、このノスタルジック2デイズの展示にはギリギリ間に合ったそうです。同社ではまだまだ対応車種や年式を広げていくとともに、今後はキャブ車でも展開していきたいとのこと。
旧車をより快適に乗りやすく
ところで、点火系をダイレクトイグニッションに変更すると、どのようなメリットがあるのでしょうか。まず挙げられるのが始動性の向上です。ディストリビューターだと気温などに影響されて始動性が悪くなることもありますが、ダイレクトイグニッションではそのようなトラブルが少なくなります。旧車乗りにとって、いつでもどこでもエンジンが始動できるのは、それだけでありがたいことでしょう。
また、低回転から高回転まで安定した点火を実現するため、レスポンスがよくなりエンジンの吹け上がりも軽やかに感じるそうです。また、トルク感の高まりはもちろん、実際の数値としてもより大きなトルクとパワーを得られるとのこと。さらにオーディオのノイズが抑制されるなどの効果も。より旧車を快適に乗りやすく、そして性能向上も見込める。それがダイレクトイグニッション化なのです。
ユーザーフレンドリーにこだわりアリ
点火系を変更するとなると、フルコンの導入など大規模なモディファイが必要だと感じてしまう人もいるかもしれません。しかしT.M. WORKSがこだわったのは、ノーマルコンピューターで機能すること。これはユーザーに対して導入のハードルを下げるのが狙いです。
さらにユーザーフレンドリーなポイントとして、DIYでも取り付けやすいように設計され、配線加工も不要(一部車種を除く)でポン付け可能なこと。コスト面と作業面、両方から導入のハードルを低くしているのは、実際に使うユーザーのためを思った製品開発と言えます。
車種によって異なりますが、金額は15万円ほど。リーズナブルな導入コストとハード的なハードルの低さで、旧車が快適に乗りやすくなるダイレクトイグニッション化。完全オリジナルにこだわらないのであれば、旧車乗りのマストアイテムと言えるのではないでしょうか。