旧車にも現代のクルマのような電子制御をプラス
旧車を快適に乗るうえで話題となるのが燃料の噴射方式をどうするか、つまりキャブレターのままか、インジェクション化するかという点です。オリジナルにこだわるならキャブレターですが、インジェクション化にも大いなるメリットが存在しています。MoTeC(モーテック)に、どのようなメリットがあるのか伺いました。
インジェクション化のメリットとハードル
2023年2月に行われた、旧車をメインとしたカーショー「ノスタルジック2デイズ」でMoTeC JAPANはプリンス「スカイライン S54B」を展示。この車両は単にインジェクション化しただけでなく、日常の足として使えるよう作られているのが特徴です。
キャブレターを搭載する旧車のインジェクション化にあたり、大きなメリットと言えるのが、このスカイラインのように日常の足として使うことができるほど、気軽に乗れるようになることです。キャブレターの場合、走行する場所の状況に応じてリセッティングの必要があったりしますが、インジェクション化することによってあらゆる状況で調子よく乗ることができます。
しかし、キャブレター車をインジェクション化することは簡単ではありません。単純に制御を変えるだけでなく、燃料ポンプや燃料ライン、リターンホースなど機械的なパーツも導入して配置しなければならないからです。インジェクション化に際して、比較的ハードルが低いと言えるのが「後期モデルがインジェクション」といった、年式によって仕様が異なる車種。このような車種は各パーツのレイアウトや適合が取りやすいためです。
ネオクラシックにフルコンがオススメな理由
MoTeCのようなエンジンコントロールユニットはフルコンと言われ、純正コンピュータを使用せずとも単体でエンジンを制御できます。近年はノーマル状態でインジェクション仕様のネオクラシック車にも、チューニングとしてではなくレストア目的でフルコンを導入する事例も増えているのです。
その大きな理由として挙げられるのが、純正コンピュータの劣化です。純正コンピュータに不具合が出たときや、不具合が出る前にフルコンを導入し、不測の事態に備えているのです。トラブルフリーに近づくという意味では、キャブレター車にフルコンを導入する例と似ているかもしれません。
フルコンを導入することでより緻密な制御が可能になり、これまで以上のエンジンフィーリングを手に入れることも可能だそうです。
MoTeCはフルコンとしてトップクラスの緻密な制御が可能
フルコンと言われるシステムはさまざまなものが存在していますが、その中でもMoTeCはトップクラスの細かくて速い制御が可能となっています。そのため、エンジンとドライバーの意思疎通がより高い次元で可能となるのです。
スロットルに対してより緻密に反応することはもちろん、よりキレイに燃料を燃やすことを可能にするため、エンジン内部の汚れも少なくなるとのこと。また、燃費も向上します。
フルコン導入と聞くと、フルチューンのエンジンを想像してしまうかもしれません。ですが、そのエンジンの良さを生かした、ストレスフリーなフィーリングを求めて制御のみMoTeCを導入し、ほかはノーマルというユーザーも多いそうです。たとえパワー&トルクアップが目的ではなくても、旧車にフルコンを導入することで、より快適かつ楽しいドライビングを味わえるのです。