評価が年々上がっていくM1の落札額は
こうした紆余曲折があるものの、F1ドライバーがワンメイク・レースを行なった車両であること、そしてBMWのM88/1型3.5L直6エンジンを縦置きしたミドシップ・マシンとしての評価は高く、399台の市販車と59台作られたレース専用車は現在では希少な歴史の証人となっている。
そんな中、アメリカのフロリダ州で行われたオークションで落札された「M1」は、58万ドル(邦貨換算約7880万円)であった。価格の理由はおそらく、1980年から2019年までワンオーナーで大切にされていたことだろう。
当初のオレンジ色から現在のホワイトへとオールペンが行なわれたほか、BMWの手によって、エンジンをはじめとしたオルタネーターや燃料システム、サスペンションやブッシュ類、さらには内張りやシート、ワイヤーハーネスまで交換されていることで、新車同様の個体に仕上げられている。まさに極上のM1というわけだ。
温暖とも台風の通り道とも様々な形容がされるフロリダ州ながら、屋根付き保管されていたというこの「M1」。時代を作った名車の価格は、この先、下がることはなさそうだ。