スーパーカー少年たちの間でも捉え方は二分された
ラリーで活躍した印象が強いストラトスだが、ベルトーネデザインだったことをフィーチャーする自動車関連書もあり、その前身がベルトーネ作のショーカーである「ストラトスHFゼロ」であったことから、「宇宙をドライブするのにいいクルマ」、というキャッチコピーを付けた子ども向けの本もあった。ちなみに、成層圏=stratosfera(イタリア語)なので、宇宙という言葉が出てきたのだ。
ブーム当時の小学生の間では、ラリー専用車としてのストラトスと、ストラトスHFゼロのデザインを継承したベルトーネの秀作という、ふたつの捉え方をされていた。ざっくり大別すると低学年はホモロゲーションモデル/純粋なラリーマシンとして絶賛し、高学年は宇宙時代のデザインに触発されたショーカーの流れをくむ未来的なプロポーションのスーパーカーとして賛美していたのであった。
現在は高騰して8000万円~1億円、ただし流札することも多い
かつて小学生たちの憧れの存在だったストラトスは現在、海外のオークションで8000万円~1億円ぐらいのプライスで出品されているのだが、さすがに高価すぎるのか落札されないケースも多々あったりするから興味深い。
2022年9月にRMサザビーズが開催した「ST. MORITZ」オークションに出品された1975年式ストラトスは、レッドオレンジのボディカラーにアルカンターラのインテリアをまとった美品。60万~70万スイスフラン(邦貨換算約8600万円~1億円)のエスティメート(推定落札価格)が示されていたものの、残念ながら「No Sale(流札)」に終わってしまったようだ。
オリジナルのストラトスはマーケットを探せば6000万円ぐらいから入手できそうだが、いずれにせよ高価なので、近年はよくできたレプリカも欧州で販売されるようになってきた。少年時代の夢を叶えるならば、そちらの選択肢も視野に入れてみるといいだろう。