今も昔も値段は超一流だった
2023年2月1日、RMサザビーズがパリで開催したオークションにおいてトヨタ2000GTが出品された。一時期は1億円という落札価格を叩き出しているほど、注目されている1台だ。今回はいくらで落札されたのか、同車について振り返りながらお伝えしよう。
1960年代としては最先端技術がテンコ盛りされたトヨタ2000GT
DOHCエンジン、5段フルシンクロメッシュ・トランスミッション、4輪ディスクブレーキ、ラック・アンド・ピニオン式ステアリング、リトラクタブル・ヘッドライトを装備したトヨタ2000GTは、今聞けば“ふーん”と思うかもしれないが、1960年代としては最先端技術がテンコ盛りされたクルマ、だった。トヨタ自動車のイメージリーダーカーとして、国際的に通用するスポーツカーを目指し開発され、値段も超一流だった。
2000GTデビュー時の販売価格は238万円で、当時トヨタ自動車の高級車であったクラウン2台、大衆車であったカローラが6台買えた。1967年(昭和42年)当時の日本における大卒者の初任給がおおむね2万6000円前後であったことを考えれば、現在価値では2000万円クラスだった、というわけだ。
映画007シリーズ『007は二度死ぬ』にボンドカーとしても登場
トヨタとヤマハのコラボレーションによる2000GTは、1965年の東京モーターショーで発表され、1967年5月に発売された。ジャガーやポルシェに対抗するため、トヨタはジャガーやポルシェに照準を合わせて開発。2000GTのバックボーンであるシャシーにはロータスへのオマージュが込められている。流麗なボンネットの下には、148psの1988ccツインカム直6が搭載され、ミクニソレックス製ツインチョークキャブレターが3基取り付けられていた。
独立懸架式のダブルウィッシュボーンサスペンションとディスクブレーキ、5速トランスミッション、リミテッドスリップディファレンシャルを採用し、最高速度は220km/hと発表された。また、エキゾチックなラインを持つ2000GTは、映画007シリーズ『007は二度死ぬ』にボンドカー(オープンモデル)として登場したことでもあまりに有名な話だ。
出品されたモデルはオリジナルのカラーで仕上げられた1台
1967年から1970年にかけて337台の2000GTが生産されているが、現オーナーが所有するのはじつに3台目となる。このシャシー番号MF10-10050は、1967年7月26日にヤマハの工場から出荷された右ハンドルの国内向けモデルで、233台が生産された前期型である。2013年に日本から輸入される前にレストアが施されたと言われており、ペガサスホワイトのオリジナルカラーで仕上げられている。
ヨーロッパに渡ってからは、フランス各地のトヨタ・ショールームに展示された。というのもこの車両のオーナー、ヨーロッパ最古のトヨタ・ディーラー創業一族、ドゥジュネーブ家が所有していたものなのだ。当該2000GT、リヨンの「Epoqu’Auto」やヴェトラズモンソーの「Auto Rétro」などのイベントでも展示されたことがある。このクルマの近況は、ウェブサイト「Petrolicious」が制作したビデオで紹介されている。
気になる落札価格は62万3750ユーロ(約8830万円)。2000GTはよほど状態が悪くないかぎり、1億円というのが相場なのだろう。