N-VANをEV化したモデルが新エネルギーの展示会に登場
2023年3月15日(水)から3月17日(金)まで、東京お台場にある東京ビッグサイトでは、「第19回スマートエネルギーWeek【春】2023」が開催された。そのスマートエネルギーWeekを構成する展示会のひとつである「第13回【国際】スマートグリッドEXPO」には、ホンダが着脱式可搬バッテリー「Honda Mobile Power Pack(モバイルパワーパック)」の活用事例を展示したので紹介しよう。
電磁波などにもしっかり対応するアウターシェルを採用
モバイルパワーパックは、高さ298mm×長さ177.3mm×幅156.3mmというサイズで規格化されたバッテリーで、1個当たりの重量が約10.3㎏、定格容量 は26.1Ah/1314Whとなるもの。そのパック内にバッテリーマネジメントユニットを搭載し、振動や衝撃、水や熱、そして電磁波などにもしっかり対応するアウターシェルでバッテリー自体を保護する構造となる。
ホンダは、e:ビジネスバイク・シリーズと呼ぶ「BENLY e:」、「GYRO e:」、「GYRO CANOPY e:」の3機種をラインナップ。これらのバイクは48Vのバッテリーパック2本を直列につないだ96Vで駆動する。今回の展示では、バッテリーの交換ステーションとなる「Honda Power Pack Exchanger e:」や、このバッテリーパックからの給電ができる『Honda Power Pod e:』のほか、電動耕うん機やホンダ以外のメーカーによるモバイルパワーパックの活用事例などを紹介していた。
バッテリーの劣化を気にせずに使用することができる
その中で今回初お披露目となったのが、「MEV-VAN Concept」である。パッと見は軽商用バンの「N-VAN」のまま、である。外観にそれらしいバッヂも見当たらない。ただスライドドアを開けた室内のフロアには、ダンパー付きの見慣れないカバーがあり、それを開けると、モバイルパワーパックの青い上面が見える。それも4つだ。
外観は、全く変更はない。スペック的に変わったとすると、最低地上高が若干低くなっている、という。これはフロアの高さをそのままに、床下に収納したバッテリーの出っ張り部分を考慮したものとなる。
既存のガソリン車をEVにコンバートしつつも、固定式のバッテリーEVとは異なる価値の提供を、と考える中で作られたモデル。バッテリーをシェアすることで、バッテリーの劣化を気にせずに使用できる。
出力7kWほどのモーターを前後軸にそれぞれ載せ、モバイルパワーパックを8つ搭載するこのN-VANは低出力EVとなる。バッテリーの取り外しを考え、両スライドドアを開けた際に取り出しやすいように開口部側に斜めにレイアウトされている。ホンダのeビジネスバイクではロックバーを解除する際にバッテリーが浮き上がるという複雑な機構を持っていたが、この車両ではもう少しシンプルなロックバーとなっている。
最高速度70km/h、航続距離も75kmほどという。過疎地でガソリンスタンドが近くにないものの、どうしても車両が必要。しかしハイスペックなEVは不要、というニーズを汲み取って、実際に販売されることを願う。それにはモバイルパワーパックの普及がカギとなりそうだ。