90年代のVIP黄金期スタイル
90年代を代表するVIPセダン「Y31グロリア」をこよなく愛する“きょーひょー”さんは、「チーム参壱倶楽部」に所属し、「オールジャパンY31保存會」としての活動も行っている人物。ただ派手に飾る仕様は好まず、彼が目指したのはVIPカーの黄金期と言われた1993年~1995年の間に流行ったスタイルを忠実に再現すること。そのために貴重な当時物も苦労しながら集めて作り上げた。当時を知る人ならば、この仕様を見れば色々と当時のことを思い出すのではないだろうか。
人気のなかったパーツが高値となっている現状
“きょーひょー”さんのこれまでの車歴は、12クラウンからはじまり、R32スカライン、Y31グロリア、F31レパード、Y33シーマ、インフィニティQ45、Y31グロリアと続いている。この愛車遍歴からもわかる通り、時代的にはハイソカーからVIPカー創成期へとシフトしていった激動の時代にクルマ中心の生活を送り、改造に夢中になった世代といえる。
様々なパーツが登場し、エアロパーツという言葉が世の中に浸透し、みんながあたり前のようにエアロパーツを取り付けるようになった時代。市場はパーツで溢れ、まさに選び放題になっていた。
だが、そんなたくさんあったはずのパーツも現在は、ほとんどん見かけなくなってしまった。そして、たまに個人売買のオークションに出てきても、貴重なレア物として扱われ、高値で取り引きされている。こうした状況下で、“きょーひょー”さんは当時物だけにこだわってY31グロリア製作。本当の意味での当時仕様として、Y31保存會を代表する1台にもなっている。
すでに手に入らないパーツばかりなので、その作り込みは苦労の連続だったという。クルマの修復やレストアと同じような感覚で、“きょーひょー”さんはボロボロの状態のパーツを購入し修復。手に入らない物は直して作り出すしかないという情熱によって数多くのパーツを再生させた。
その中でもピッツーラのリアバンパーは超希少で、その道のプロとしてマニア達が数多く存在するY31保存會のメンバーの中ですら、このピッツーラのバンパーを付けている車両は一台もいないという。
“きょーひょー”さんは、次のように現在の希少パーツの状況について説明してくれた。
「当時はあまり人気が無かったから、いまでは珍しい物として扱われていますね。現在の市場の希少パーツというのは、そういった不人気だったパーツの方が価値があがってたりするんでよね」
90年代を懐かしむカスタム
“きょーひょー”さんのY31グロリアに装着させているエアロパーツは、フロントがVIPスポーツ、サイドステップがモアコラージュ、リアバンパーがピッツーラ、リアウイングは純正オプションのベタ付けタイプをセット。
その他エクステリアはブロアム用のヘッドライトにブラックアウトのインナー加工を施し、ブロアム用のボンネットマスコットも装着。さらに、コーナーポールは懐かしのメルセデスベンツ用を流用している。
極端に下げることなく程よい感じの車高はJICの車高調キットを装着させて作り出したスタイル。これも当時物を使っていてフルタップ式になっている。そして、ホイールは当時から定番だったワーク・エクィップをセット。ボディ同色のディスクとピアスボルトも当時風のリメイクのポイントで、サイズもあえてフロント8J-17、リア9J-17を履かせている。
外装のダークレッドマイカ・クリスタルシャインは純正色ではないそうだが、確か当時、こんなワインレッドが流行ったことを思い出す。やんちゃなクルマとして当時から特別な存在感を示していたY31グロリアVIP。こうしてあらため見る当時スタイルは、やっぱり渋くてまとまりがあり、カッコ良いクルマであった。