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バブルカー「イセッタ」に速度記録車があった! フランスの「ヴェラム」版はどうして売れなくなったのか

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TEXT: 長尾 循(NAGAO Jun)  PHOTO: 長尾 循

250cc以下クラスで7つの世界記録を樹立!

そんな状況のなか、ヴェラム社も手をこまねいていたわけではない。1957年には自社製品の優秀性をアピールするため、速度記録に挑戦することにしたのである。その挑戦にあたりオリジナルの卵型のボディは取り払われ、その代わりにレーシング・スクリーンを備えたオープンのシングルシーターとされた。小さいながらナショナルカラーのフレンチブルーに塗られた流線型のアルミ・ボディからも、その本気度がうかがえる。

そして1957年の7月30日、モンレリ競馬場に持ち込まれたヴェラム・イセッタのレコード・ブレーカーは社員ドライバーの手によって、排気量250cc以下のカテゴリーで見事に7つの世界記録を樹立したのである。それが今回ご紹介しているヴェラム・イセッタ速度記録車(レコード・ブレーカー)だ。

マイクロカーから大衆乗用車の時代の狭間に咲いた花

その年の10月、パリで開催されたモーターショーのヴェラムのブースには、世界記録を樹立したレコード・ブレーカーが誇らしげに展示され、また「ヴェラム・エクラン(Velam Ecrin)と呼ばれた上級グレードを追加するなど、同社としては販売促進の手は色々と尽くしていた。しかしそれらの試みにもかかわらずヴェラム・イセッタの販売台数は盛り返すことなく、ほどなく生産を終了。ヴェラム自体も翌1958年には廃業となった。資料によって数字は異なるが、ヴェラム・イセッタはフランス、ベルギー、スペインなどの市場に向け、およそ7000台が生産されたと言われる。

1960年代を目前に、すでに自動車の世界はミニマムなマイクロカーが必要とされた時代から、シトロエン2CV、ルノー「ドーフィン」、フィアット「500/600」、そして日本では「スバル360」といった本格的なベーシックカーの時代に移りつつあった。そんな時代の節目を知るよすがが、このヴェラム・イセッタ速度記録車なのだ。

■Auto Cult(オートカルト) 1/43
車名:ヴェラム・イセッタ速度記録車/VELAM Isetta Voiture de Record(1957年)
定価:1万7600円(消費税込)
型番:07009
問い合わせ:国際貿易 https://www.kokusaiboeki.co.jp

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  • 長尾 循(NAGAO Jun)
  • 長尾 循(NAGAO Jun)
  • 1962年生まれ。デザイン専門学校を卒業後、エディトリアル・デザイナーとしてバブル景気前夜の雑誌業界に潜り込む。その後クルマの模型専門誌、自動車趣味誌の編集長を経て2022年に定年退職。現在はフリーランスの編集者&ライター、さらには趣味が高じて模型誌の作例制作なども手掛ける。かつて所有していたクラシック・ミニや二輪は全て手放したが、1985年に個人売買で手に入れた中古のケーターハム・スーパーセブンだけは、40年近く経った今でも乗り続けている。
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