紆余曲折あるなかで誕生したデリカミニ
話題沸騰の軽自動車、三菱デリカミニだが、開発のスタートは、eKクロススペースから始まったという。現在、高い人気を誇る軽自動車である、三菱eKシリーズをSUVルックに見せたのがeKクロススペース。だが、このクルマが発売された際、三菱社内では「これはデリカじゃないの?」という声が多く聞かれ、デリカの名のほうが良かったのでは? と、さまざまな議論が巻き起こったそうだ。
デリカD:1じゃなく「デリカミニ」となった理由とは?
そこでデリカというクルマはどんな存在なのかという社内調査を行ったところ、既存のデリカD:5ユーザーにとってはミニバンであり、タフギアであり、RV(レクリエーション・ビークル)の一つという認識だったそう。だが一般ユーザーとなるとそれこそアウトドアで使い倒せるクルマであったり、他銘のようなミニバンではないという結果が出た。
この結果を受け、デリカD:5をミニバンだと思っていた社内は驚いたが、そこにチャンスが生まれたのがデリカミニの誕生だ。
そんななかで開発されたデリカミニだが、車名としてありがちなデリカD:1ではダメだった理由は、D:1ではデリカのイメージが強すぎる……と考えたから。そこで「ミニ」となる。この言葉の持つ愛らしさが必要と考えた結果だったのだ。
現在でも、発売から30年近く経過したパジェロミニが、多くのユーザーにいまも愛されているように、デリカミニも多くの人たちに親しまれてほしいという希望が込められた。
そんなデリカミニの特徴は、なんといっても半円を描くLEDライト。この太さを均一かつキレイに光らせるのが難しく、このヘッドライトがあるからこそのフロントマスクとなった。もちろん安全装備に必要なレーダー類はキレイにフロント部に収まっている。ちなみにバンパーの塗分けやフェンダーはブラック塗装で仕上げられており、力強さもしっかり演出されている。
装着タイヤは、eKクロススペースが165/55R15であるのに対して、デリカミニは165/60R15を履く(グレードにより155/65R14サイズの設定あり)のは、単純にタイヤ径を大きくして地上高を稼ぐため。サスペンションもリフトアップされ最低地上高は10mm(eKクロススペース比)上がっている。さらにルーフレールもしっかり用意されているのもアウトドア派には見逃せない。
アウトドア&アクティビティで活躍すること間違いなし!
室内は撥水シートやレジャーでうれしいゴム製の専用フロアマットが備わるほか、ワンタッチで収納できるリアシートの背もたれや荷室部分のラゲッジボードにもPVC・防水が施され、使い勝手は抜群に高い。
気になる安全装備も全部載せで、高速道路同一車線運転支援機能のマイパイロットやブレーキホールド機能はプレミアムグレード全車に設定されるなど、装備は非常に充実している。
ボディカラーもモノトーン6色、2トーン6色の全12色を展開。ターボとNA、FFと4WDがそれぞれ選べるデリカミニだが、納期はすでに半年以上先との見方もある。三菱にとって久々のヒットはうれしい悲鳴だろうが、ユーザーは納車まで忍耐強く待つことになりそうだ。
コールマンとスノーサバイバーがカスタム派のお手本となるか!?
デリカミニのカスタムスタイリングは、すでにいくつか提案されている。その一つが「デリカミニ×コールマン」で人気アウトドアブランドとのコラボモデル。三菱の純正用品のダイナミックシールドやグリルガーニッシュと、純正色にはないアースカラー(ライトベージュ)のボディにコールマンのアイコンの一つである、ランタンがあしらわれたスタイリングは、キャンプにはもってこいと言えそうだ。
室内も純正ナビなどが備わるなか、窓用のバグネット(アイズ製)やシングルベッドキット(クラフト・アオイ製)、サイドストレージ・パネル(IPF製)が備わり、車中泊にも対応。じつはこのコンセプトカーはすでに存在した三菱の純正用品と、アウトドアブランドのパーツとのコラボ。そして今後開発されるであろうアイテムで構成されており、アウトドアやキャンプでの実現性の高さを提案。2024年にはコンプリートカーとして展示されてもおかしくない完成度を誇っていた。
雪道を駆け抜ける「スノーサバイバー」も初披露
もう一台はデリカD:5のスノーサバイバーの弟分といった存在で、雪道を駆け抜けるデリカをイメージ。雪山を思わせるボディカラーに等高線をイメージしたグラフィックとスノーカモフラージュを施し、ブラックのフロントマスクやボディ下部をブラックでラッピングしていた。
サスペンションは、パドック製「POSスポーツリフトアップキット」が奢られ、ホイールはデイトナM9 SBP(本/4万1800円)を装着。アウトドアテイストを強めている。また、ワーキングランプ(1万9360円)やシリコンガード(2178円)はIPF製で市販されているもの。
インテリアもビレット・サイドアシストグリップ(9350円)、アップサイドステー(クラフト・アオイ)も備わるほか、他モデル用を流用したというJAOSのマッドガードもあって、三菱純正品とサードパーティメーカーとのコラボとなっている。
発売前からこのような実現性の高いコラボが登場するのは、それだけデリカミニが期待されている証拠。デリカミニの話題は、2023年5月の発売以降も新車販売&カスタムで話題が尽きることはなさそうだ。